東北大学
学際科学フロンティア研究所

FRIS Interviews #02

FRIS Interviews#02後編

  • 鈴木 真介Shinsuke Suzuki

    神経経済学Neuroeconomics

  • 大学 保一Yasukazu Daigaku

    分子遺伝学・ゲノム情報科学DNA replication, Mutagenesis

  • 吉野 大輔Daisuke Yoshino

    メカノバイオロジー・設計工学Mechanobiology,
    Design Engineering

学際科学フロンティア研究所は「学際的研究の開拓・推進によって新たな価値を創出し、人類社会に貢献すること」を目的としています。そのコンセプトを所属研究者によって語り、考える企画が本連載『ボーダーを越えて』です。

それぞれの研究人生に触れながら、「自分が体験した学際的な活動を語っていただきます。学際フロンティア研究所(以下、学際研)の理念と実態を浮き彫りにすると同時に、学際研のメンバーが対話を通じてこれからの組織のあり方を考える場です。

オリジナリティのある個の集団

吉野
一言で言うと変な人が多い。

一同:(笑)

吉野
分野がいろいろ分かれていてこれだけ専門が多岐に渡っている人たちが集まっている研究所というのはまず無いですからね。全然違うと変な人に見えますね。変な奴だってみられるのはお互い様ですが。その中にも自分の研究にも活かせるようなことがあると感じています。そこが一番良いところだと思います。
吉野 大輔Yoshino Daisuke

学際科学フロンティア研究所 助教。
東北大学大学院工学研究科修了。博士(工学)。東北大学大学院医工学研究科博士研究員、東北大学流体科学研究所助教、シンガポール国立大学メカノバイオロジー研究所客員研究員などを経て、2017年から現職。専門はメカノバイオロジー、設計工学。とくに最近は、力学刺激に対する生体反応を応用した理学療法の検証や循環器医療デバイスの開発に取り組んでいる。

大学
研究者なんだからお互い様。変であることをアピールするようなところもあります。当たり前のことですが、自分のオリジナルの発想や方法論を持つことは一人前の研究者として必要不可欠ですね。オリジナリティが立っているとでも言いますか。周りと同じということがむしろ研究者としては立たないですよね。
吉野
自分の研究の方向性が定まっている人、と言うのはこの世界で生きるのがうまいですよね。
大学
共同研究する場合も、独自の視点を持っている人には「この人に任せる」、「任せるとこれをやってもらえる」と思えるので非常にやりやすいですし、新しい知見が得られる可能性があると思います。結局は、今までと同じ方法でやっていたら同じもの、月並みな結果しか出てこない。
鈴木 真介Suzuki Shinsuke

学際科学フロンティア研究所 助教。
筑波大学大学院システム情報工学研究科修了。博士(社会経済)。理化学研究所研究員、カリフォルニア工科大学博士研究員などを経て、2016年から現職。専門は神経科学。ヒトの意思決定メカニズムについて、機械学習や人工知能などの情報工学的アプローチと機能的脳イメージングを組み合わせた研究を行っている。

鈴木
僕の今の研究室では、僕は「変なこと言うやつ」と思われているみたいです。大学さんがおっしゃっていたように、実験系って実験をして明らかな差を出すことが重要だったりする。それに対して数理モデルを作っていると、学生からしたら「なんでそんなことしなきゃいけないんですか、他の先生はそんなことしてないし」という感じだと思います。
大学
それでも、長くいればいるほど、新しい考え方が周りの人々にうまく浸透していくんだと思いますが、最初から異分野の内容、コンセプトをスルリと受け入れるのはやっぱり難しいですね。学際研の中でも、いろいろな研究発表を聞く機会がありますが、個々の研究の本質的な部分を垣間見るにも、それなりの時間が必要だと思います。例えば、物理や宇宙の研究者からは、「生命科学はそんな細かいことばかりやっているのか」とか、「ものを見ているだけで原理原則のようなものが成り立っていない」などのコメントを貰う事もあり、イラッとくる時もあるんですけど(笑)、考えてみると、確かに現在の生命科学には、物事をできるだけ単純に考え、真理に近づくという方向性が欠落しがちなのは事実だなと思うようになりました。基本的には、細胞のメカニズムを追い求める緻密な研究スタイルが主な生命科学者と、「1桁2桁ぐらい違っても大丈夫」というような感覚を持つ宇宙の人(宇宙の研究をする人たち)との違いから来たものだと思っていますが。桁が違っても全体像がわかることもあるよな、と最近思っています。そういう意味で、他の分野の人のアプローチは新鮮味があるものですね。
吉野
遠慮がないですよね(笑)普通は同じ専門同士だと暗黙の了解で聞かないことまで聞いてきます。逆にこちらが答えるのに困ってしまうぐらいバシバシ聞いてくる。だからこちらもバシバシ聞く。そもそも違う専門分野の人が集まっているので、遠慮していたら全く会話にならなくて意味がないです。
大学 保一Daigaku Yasukazu

学際科学フロンティア研究所 助教。
東北大学理学部卒業、東北大学生命科学研究科修了、Cancer Research UK London Research Institute研究員、英国サセックス大学Genome Damage and Stability Centre 研究員、日本学術振興会海外特別研究員を経て、2015年より現職。専門は分子遺伝学・ゲノム情報科学。突然変異が起きる仕組みを探るために、DNA複製、DNA修復といったDNAの回りで起きる現象を対象として研究を行っている。

「学際」の未来

鈴木
吉野さんは学際研で共同研究を結構されているように思います。メリットを活かしていると思います。
吉野
「これ使える」と思ったらすぐに聞ける環境があるので、逆に「自分のこれが使ってもらえるんじゃないか?」などとよく考えています。学際研のWebサイトのプレスリリースや論文発表のお知らせなどをよくチェックして、使えないかアンテナを張っています。全然理解できないのもあるんですが、一応全部見て、「面白いな、使えそうだな」と思うと声をかける。
大学
日本の大学の弊害は研究室を単位としてスタンドアローンなところです。組織が縦割りで、隣の研究室の様子もわからない。
吉野
隣の研究室に行っておやつを食べていたら、「なんでお前がここにいる?」と怒られる(笑)海外の大学だとオープンラボが多く、みんな居場所が同じなのでそういうことがありませんよね。今の学際研だと聞きたいことがあってもキャンパスがバラバラです。居場所が皆同じだと気軽に相談できて良いと思います。オープンラボにして共通機器をまとめて買うようなことを日本の大学でどこがやるか?で、今後の研究に大きく差が出てくるのではと思っています。
大学
同じような研究室が同じ機器を所有しているっていうのはとても無駄ですよね。
吉野
高額な機器を個別の研究室が持つのではなくて、その分の予算を使って機器を管理する部門を作るというような仕組みづくりが必要だと思います。そうしないと、何でもかんでも研究者や事務職員にしわ寄せがきて、辛いんじゃないかと思います。
大学
一度作ってしまえば、研究力が上がっていくと思いますね。一人一人違う性質を持っていて、労力とかを考えるとそれが一番いいんじゃないかと思いますね。

[2017年12月1日]

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