東北大学
学際科学フロンティア研究所

FRIS Interviews #07

FRIS Interviews#07

  • 金子 沙永Sae Kaneko

    視覚心理学Visual Perception, Experimental Psychology

学問領域や所属団体の垣根を超えて
チャレンジできる自由度の高さ

あなたがFRISを選んだ理由は?

学際という考えに共感。自由で主体的な研究ができるから。

金子
以前、日本学術振興会の特別研究員として東北大学で研究を行っていたのですが、ある会合で総長(大野先生/当時・電気通信研究所長)にお会いした際にFRISのコンセプトをお聞きしたことがきっかけとなりました。学問領域の枠を超えて発展する“学際”という考え方に共感したのです。いわゆる文系出身の私が、神経科学など理系出身が多い分野とも連携し、自由で主体的な研究ができるのはFRISにいるからだと思っています。

現在の研究内容について教えてください。

ヒトの視覚系のシステムを多角的に分析、研究しています。

金子
人間は、目から膨大な情報を収集しています。たとえば、長く室内に居たにも関わらず床や壁の色が記憶に残らないという現象は、視覚情報から重要な情報だけを優先的に抜き出して記憶に留めているからだと考えられています。また、実際に見えている情報から時空間上で矛盾しないように色や形を補正しているのですが、この錯視という現象は、ヒト視覚系が視覚情報を効率的に符号化するための手段として文脈を使用しているために生じていると考えられます。錯視がどのような状況下で起こるのかを調べることで、ヒト視覚系が普段どのように機能しているかを知ることができると考えています。これまでは心理物理学的手法を用いて、錯視と、それをもたらすヒト視知覚メカニズムに関する研究を行ってきましたが、FRISでは神経科学的、工学的手法を組み合わせるなど学問領域を超えてこの研究をさらに拡大していきたいと考えています。
金子 沙永Sae Kaneko

学際科学フロンティア研究所 助教
過去に、日本学術振興会特別研究員として東北大学にて研究を行っており、2018年からFRIS研究員として在籍。昨年からすでに米・英の研究施設に赴き、分析や研究を進めている。

FRISの特徴や魅力を教えてください。

独立して自由な研究ができる。他の助教職よりも研究に時間が割ける。

金子
FRISは、自由に研究ができることが一番の特徴だと思います。一般の助教職の場合、研究室の運営やスケジュール調整などに手がかかることがありますが、FRIS研究員の場合そのような業務から離れ、研究に没頭する時間が充分に確保されています。また、研究室や学問分野、領域に縛られることなく、枠組みを超えてアプローチすることができます。研究者一人ひとりの独立性が保証されており、主体的に研究を進められる環境にあります。

FRISだから可能になったこととは?

他分野の研究者に声をかけやすく、共同研究がスムーズ。

金子
異なる領域の研究者と話ができる機会が多いと思います。研究者同士の交流が盛んであり、セミナーやコロキウムなどが定期的に開催されています。以前、宿泊する交流イベントに参加しましたが、そこで自由闊達な議論ができたことが印象に残っています。軸となるテーマに対し、自分の研究分野からどのようにアプローチできるのか、それぞれがアイデアを持っていました。非公式な場ですが次々と話題が生まれ、それが発展する可能性も大いにあるということが興味深く思います。また、FRISはコンソーシアムが組織されており、領域外かつ学外の研究室や研究所にも声をかけやすく、共同研究を依頼するハードルもかなり低いと感じています。分野・領域の境界だけでなく、学内外の境界に関しても自由度が高く、動きやすい環境を整っているとも感じます。

FRISではどんな人が活躍できそうですか?

リスクを恐れず、チャレンジしようとする人。

金子
リスクを恐れずにやってみようと思える人に向いていると思います。新しいことに挑戦しようと思ったとき足が止まってしまうこともあるかもしれませんが、突き進んでいける行動力や突破力がある人が活躍できるのではないでしょうか。

FRISをおすすめしたい理由は?

新しいことを生み出すための環境がすでに整っているから。

金子
この研究所は、新しいものを生み出すために創られた場所です。ですから、新しいものを生み出さなければ意味がありません。海外共同研究などもありますので、行きたいと思えば海外で共同研究することも推奨されています。私もつい昨日までイギリスの大学に3ヶ月滞在していました。海外滞在期間中に現地の若手研究者との学際ネットワークを構築することも期待されていますので、こういった領域をまたぐ研究の輪も広げていきたいですね。研究員は自由度が高いため、学びに対する意欲は高まる一方かもしれません。

仙台の暮らしや環境について。

初めての関東以外での生活ですが、思っていたよりも気に入っています。

金子
関東出身の私にとって、関東以外での暮らしは仙台が初めてです。こちらに住む前は「東北ってどうなのかな」とやや不安もありましたが、期待以上に暮らしやすく、とても気に入っています。人が多すぎず、あまり混雑することはありませんし、必要なものは大体揃います。街は歩いて行ける距離に広がっていますので、不便と感じることはほとんどありません。街から少し離れると田舎らしさを残しているところも新鮮で、仙台に来てからこけしや工芸の文化に触れることが多くなり、新たな趣味を見つけ楽しんでいます。
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