東北大学
学際科学フロンティア研究所

FRIS Interviews #09

FRIS Interviews#09

  • 熊 可欣Kexin Xiong

    心理言語学、神経言語学、第二言語習得Psycholinguistics, Neurolinguistics, Second Language Acquisition

トップの研究者たちと交流できる
理想の環境でさらなる成長を目指す。

あなたがFRISを選んだ理由は。

FRIS若手研究者との会話が刺激となり、次第に一員になりたいと思うように。

FRISの存在を知ったのは、日本学術振興会外国人特別研究員として東北大学に来てからです。研究員のころ、受入教員の木山幸子准教授(文学研究科)がFRISでプロジェクトを持っていたため、普段からFRISの一画で作業させてもらっていました。そこで知り合ったFRISの助教との会話で刺激を受け、次第に一員になりたいと思うようになりました。FRISは自由な立場で研究に専念でき、研究以外の用務がほとんどありません。研究費も出していただけるので、若手研究者にとっては理想の環境です。また、メンター制度があるためメンターに付いてもらえること、さらにメンター部局で教育経験を積む機会も得ていることも含め、独立した研究室を持つ一人前の研究者になるためのサポートが充実しています。

現在の研究内容について教えてください。

デジタル化社会に漢字がいかに使われていくか、あらゆる分野から解明したい。

日本人の漢字語の理解と産出における生理的な加齢変化を踏まえた社会的コホート効果に着目して研究しています。デジタル化にともない、漢字を読めても書けない日本人が増えています。手書きをしなくなった現代日本人が高齢者になったときにも、今と同じように漢字処理の機能を保っていられるでしょうか。漢字を脳の中でどのように理解しているか、理解している場合とそうでない場合とで脳の負荷がどのように異なるのかを解明しようとしています。
この研究がデジタル世代の超高齢社会に漢字を含む言語機能の保全および外国人日本語学習者の漢字力の育成などに役に立つと期待できます。
熊 可欣Kexin Xiong

学際科学フロンティア研究所 助教。
中国出身。2018年日本学術振興会 外国人特別研究員として東北大学に赴任。2020年2月よりFRIS助教。言語、認知神経科学、社会学、老年学などの幅広い分野の知見を深めつつ、日本人の漢字の理解と産出における生理的な加齢変化を踏まえた社会的コホート効果の解明を目指す。

FRISの特徴や魅力を教えてください。

アイデアを生み出す環境が整い、研究費や設備などのサポートも充実。

名前の通り、学際的であるところですね。さまざまな領域の研究者がひとつの研究機関に集まるのはなかなかないと思います。FRISでは定期的に発表会やセミナーを行っているので、互いの研究について話し合う機会が多く、アイデアを生みだす環境が整っています。特に、そのアイデアが実際の研究成果になるよう研究費や設備などあらゆる面でサポートしてもらえるため、学際的研究に意欲のある人にとってはとても魅力的です。FRIS主催のセミナーや交流ミーティングを通して、他の領域の最先端の研究に触れることができるので、視野がどんどん広がっています。異なる分野の人に自分の研究についてわかりやすく説明し、その面白さを感じてもらう過程で、自身の研究領域についての理解も深まっている気がします。

FRISでの経験を生かし、どのような将来像を描いていますか。

オープンなマインドで後進を育て、研究内容を社会に還元できる研究者に。

将来は、テニュア研究職を得て、FRISで構築した学際・国際的ネットワークを活かして研究活動を行い、オープンなマインドをもって学生指導を行う研究者になりたいです。また、研究成果を研究者の社会に発信するだけでなく、一般社会に還元できるようにアウトリーチ活動も行っていきたいと考えています。今年、科学技術人材育成のコンソーシアムの構築事業の育成対象(第2世代)となりました。北海道大学、名古屋大学、東北大学から成るこのコンソーシアム主催のシンポジウムや合宿研修に積極的に参加し、国内外の研究機関に赴きつつ研究経験を積み、ネットワークを構築する予定です。FRISでは他領域のトップの研究者と話し合う機会に非常に恵まれていますので、この感覚をいつまでも忘れずに自分の研究に生かしていきたいと思っています。今、私がやっている研究は5年後、10年後にはおそらく他の分野と融合して一つの新たな分野になるかもしれません。そこからまた新たな視点が育ち新しい学際研究が生まれるでしょう。自分の狭い世界にこだわらず、常に好奇心を持つこと、また専門的な知見を深めながら学際的に考える姿勢を後進に伝えていきたいところです。最終目的が社会に還元するということを念頭に置いて進めていきます。

FRISではどんな人が活躍できそうですか。

既存の領域から飛び出そうとする好奇心と行動力を持つ人。

好奇心と行動力のある人が活躍できると思います。FRISでは学際的な共同研究が推奨されていますので他の分野の研究に対しても興味を持ち、お互いにどのように貢献できるかを念頭において行動する必要があります。自分の研究に役立つ研究を探すだけではなく、自分の研究が誰かの研究に役立つ可能性もあるので、コミュニケーションは重要です。そうすることで領域をまたぐ良いアイディアが生み出されるのだと思います。

FRISをおすすめしたい理由は。

研究に集中できる環境作りが迅速で、常にアップデートされます。

何よりも研究に集中できるというところです。助教といっても事務的な仕事は特になくて、やりたい研究を全面的にサポートしてもらえるので、とてもおすすめです。またここに入って気づいたのは、FRISは常に若手研究者の意見を求め、それに基づいて改善しようと努力しています。そのことに感動しました。

仙台での暮らしや環境について。

自然豊かな街並みを歩いて通勤するひとときに癒されています。

仙台はコンパクトで暮らしやすい街だとと思います。大学にはいつも30分ほど歩いて通っているので健康になった気がします。緑がいっぱいで空気もとてもきれいですし、青い空を眺めながら歩いて通勤するのはとても気持ちがいいものです。いつも癒されています。新鮮な海鮮や果実を手頃な価格で買えるところが好きですし、牛タンとせり鍋が大好きになりました。仙台には、にぎやかなところもあるし、静かに過ごせるところもあります。欲しいものは大抵駅前で買えるのでとても便利です。不便を感じるところというと、気に入りの中華料理店まだ見つかっていないくらいですかね…おすすめがあったらぜひ教えていただきたいです。
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