トピックス
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研究会等のお知らせ2016.09.14
第1回 ワークショップ「多様な核酸サイエンス」(PDF) 主催/学際科学フロンティア研究所 共催/学際高等研究教育院 ※プログラム、発表者等はこちらをご覧ください 場所:生命科学プロジェクト棟 講義室B(105) *MAP 片平キャンパス〔D-04〕 [ 事前申込不要・参加自由 ]
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会議発表・論文・出版2016.09.09
野田 博文 助教(新領域創成研究部) 『The Astrophysical Journal』に論文掲載 掲載日/2016年9月6日 新領域創成研究部の野田博文助教は、X線天文衛星「すざく」と国内の複数の地上望遠鏡を組み合わせ、NGC 3516銀河の中心に存在する超巨大ブラックホール(BH)周辺からのX線と可視光を、同時に1年にわたってモニタしました。その結果、BHに吸い込まれるガスの量が著しく少ない時間帯を捉え、そのような時間帯には、X線と可視光の強度が足並みを揃えて時間変動することを突き止めました。さらに、X線強度が可視光よりも2日ほど先行して時間変化することが分かり、BHの近くで生じたX線放射が、2光日(約10の10乗キロメートル)離れたガスを照射して可視光放射の時間変化を作り出すことが明らかになりました。 BHは見かけのサイズが小さすぎて現在の技術では空間分解できませんが、異なる波長の光のタイムラグを利用して、BH周囲物質の空間的な分布を調べることに成功した画期的な成果です。 掲載論文: Hirofumi Noda et al. "X-ray and Optical Correlation of Type I Seyfert NGC 3516 Studied with Suzaku and Japanese Ground-Based Telescopes", The Astrophysical Journal, Volume 828, 78, 2016
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会議発表・論文・出版2016.09.06
下西 隆 助教(新領域創成研究部) 『The Astrophysical Journal』に論文掲載、 および報道発表 プレスリリース/2016年9月5日 新領域創成研究部の下西 隆助教は、東京大学、国立天文台、筑波大学の研究者と共同で、アルマ望遠鏡を用いた観測により、世界で初めて、私たちの住む天の川銀河以外の銀河に、生まれたばかりの星を包むホットコアと呼ばれる分子の雲を発見しました。また、発見した銀河系外ホットコアのデータを詳細に解析した結果、天体に付随する分子ガスの化学組成が、天の川銀河内の同種の天体のものと比べて、大きく異なることを明らかにしました。この結果は、生まれたばかりの星を包む物質の化学的性質が、それらを取り巻く銀河の個性に強い影響を受けることを示しています。 今回の銀河系外ホットコアの初検出は、星や惑星の材料となる物質の化学的性質の研究に新たな可能性を示す重要な第一歩として、大きな注目を集めています。 この研究成果は、2016年8月9日発行の天文学論文誌「アストロフィジカル・ジャーナル」827号に掲載されました。 論文情報: Takashi Shimonishi, Takashi Onaka, Akiko Kawamura, and Yuri Aikawa, "The detection of a hot molecular core in the Large Magellanic Cloud with ALMA", The Astrophysical Journal, Volume 827, 72, 2016 プレスリリース: 東北大学 詳細な説明: 銀河系外ホットコアを初検出! ー生まれたばかりの星を包む暖かい分子の雲ー (東北大学理学研究科・理学部) この研究成果が、国際プレスリリースされました。 (国際プレスリリース/2016年10月5日) EurekAlert! 東北大学 東北大学理学研究科・理学部 AlphaGalileo 米国立電波天文台 欧州南天天文台 アルマ望遠鏡
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会議発表・論文・出版2016.09.02
丹羽 伸介 助教(新領域創成研究部) 『Cell Reports』に論文掲載、および報道発表 プレスリリース/2016年8月31日 神経細胞内では「軸索輸送」と呼ばれる高速輸送システムによって神経伝達物質が軸索の先端まで輸送されています。この輸送を担うトラックの役割を果たすのが生体内分子モーターKIF1Aです。新領域創成研究部の丹羽伸介助教は、東京大学大学院医学系研究科廣川信隆特任教授、スタンフォード大学Shen Kang教授らと共同で、KIF1Aは自動運転の仕組みを備えることで効率的な輸送を実現していることを発見しました。 出発地点でKIF1AのブレーキはARL-8と呼ばれる荷物上のタグ(標識や荷物票のようなもの)を識別することで解除されます。目的地にたどり着いて荷物を下ろすと再びKIF1Aにブレーキがかかります。また、この「自動運転」の仕組みの破綻は様々な神経疾患の原因になっている可能性が示唆されました。 本成果は2016年8月23日にCell Reports誌(電子版)に掲載されました。 論文情報: Shinsuke Niwa, David M. Lipton, Manatsu Morikawa, Charles Zhao, Nobutaka Hirokawa, Hang Lu, Kang Shen, "Autoinhibition of a Neuronal Kinesin UNC-104/KIF1A Regulates the Size and Density of Synapses", Cell Reports, Volume 16, Issue 8, 23 August 2016, Pages 2129–2141 http://dx.doi.org/10.1016/j.celrep.2016.07.043 プレスリリース: 東北大学
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会議発表・論文・出版2016.09.01
野内 類 助教(新領域創成研究部) 『Scientific Reports』に論文掲載 行動や感情を制御する能力であるエフォートフル・コントロール(Effortful control:EC)は、様々な心理的な適応や認知機能の個人差を反映しています。ECは、1)行動を抑制する能力である行動抑制の制御と 2)行動を回避したい場合でもそれを実施する能力である行動始発の制御と 3)集中したりする能力である注意の制御の3つに分けることができます。 これまでの研究から、ECは様々な認知機能や精神的な健康状態などと関係していることが分かってきています。しかしながら、ECの神経基盤についてはいまだ明らかにされていませんでした。 新領域創成研究部の野内類助教は、680人の大学生を対象にECと関係する脳部位を脳の体積を調べるVBM(voxel-based morphometry)という解析手法を用いて調べました。 その結果、1)行動抑制の制御の得点が高いほど前帯状回の灰白質と白質の体積が多く、2)行動始発の制御の得点が高いほど島と被核の灰白質の体積が少なく、3)注意の制御の得点が高いほど下前頭回や眼窩前頭皮質などの前頭葉の白質などの体積が多いことが明らかになりました。 本研究は、加齢医学研究所の応用脳科学研究分野(教授:川島隆太)と認知機能発達寄付研究部門(准教授:竹内光)を中心とする研究グループとの共同研究の成果です。 掲載論文
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会議発表・論文・出版2016.08.29
野内 類 助教(新領域創成研究部) 『トライアルズ』に論文掲載 麻酔や手術後に認知機能が一時的に記憶などの認知機能が低下することがあります。この症状は、術後認知機能障害(Postoperative Cognitive Dysfunction:POCD)として知られています。このPOCDは、高齢者で特に起こりやすく、術後に低下する認知機能を向上させる方法について多くの関心が集まっています。 新領域創成研究部の野内類助教とFulbright Fellow・加齢医学研究所の研究生のケイ・クラソンを中心とした研究グループは、日常的な活動である音読・計算を用いて、高齢者の術後に低下する認知機能を改善できるかどうかを調べています。 今回、音読・計算を用いた認知トレーニングが術後に低下する高齢者の認知機能を改善することができるのかどうかを調べるための研究プロトコールがトライアルズ誌に掲載されました。今後、この研究プロトコールに則った生活介入を行い、その効果を実証していきます。 本研究は、加齢医学研究所の応用脳科学研究分野(教授:川島隆太)と呼吸器外科学分野(教授:岡田克典)との共同研究の成果です。 掲載論文
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会議発表・論文・出版2016.08.26
齋藤 大介 助教(新領域創成研究部) 『Nature Communications』に論文掲載、および報道発表 プレスリリース/2016年8月26日 動物には、オス/メスといった性別があり、次世代に遺伝情報をつなぐ、つまり子供を作る能力があります。それらは生殖腺と呼ばれる器官によってもたらされます。これまで、生殖腺がオス型(精巣)あるいはメス型(卵巣)に分化する仕組みなどについてはよく研究されてきましたが、そもそも生殖腺の形成がどうやって開始するのかといった根本的な問題は全く手付かずの状態でした。今回、九州大学大学院医学研究院の吉野剛史助教と東北大学学際科学フロンティア研究所の齊藤大介助教の研究グループは共同で、ニワトリ胎仔(胚)を用いた解析から、この生殖腺の形成を開始させる最上流の仕組みを明らかにしました。 研究グループは、生殖腺などを形成する組織(側板中胚葉と呼ばれる組織)の動きを詳細に観察し、生殖腺になる細胞は周辺の細胞(腎臓を覆う細胞など)とは全く異なる動き(細胞の潜り込み運動)をしていることを見いだしました。さらに、この特徴的な動きと、引き続いて起こる生殖腺形成は、将来内臓になる組織から分泌されるSonic hedgehog(SHH)やその下流で働くBMP4によって引き起こされることを見いだしました。これらは、ニワトリ胚の側板中胚葉でピンポイントに遺伝子操作を行うことで明らかにできました。 はじめに述べたとおり、生殖腺は、性分化と生殖細胞を制御する重要な器官です。今回の成果をもとに人為的に生殖腺の形成を制御することで、将来的には不妊や性分化疾患に対する新規治療法の創出に繋がることが強く期待されます。 本研究成果は、平成28年8月25日に国際科学誌「Nature Communications」で公開されました。 掲載論文: Yoshino T, Murai H, Saito D, "Hedgehog-BMP signalling establishes dorsoventral patterning in lateral plate mesoderm to trigger gonadogenesis in chicken embryos", Nature Communications, 7, Article number:12561(2016). doi: 10.1038/ncomms12561 プレスリリース: 東北大学
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会議発表・論文・出版2016.08.22
児島 征司 助教(新領域創成研究部) 『Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry』および 『The Journal of Antibiotics』に論文掲載、 ほか総説記事掲載 学際科学フロンティア研究所新領域創成部の児島征司助教は、反芻動物の第一胃(ルーメン)に棲息する偏性嫌気性細菌Selenomonas ruminantiumの主要外膜蛋白質Mep45を単離精製し、リポソームに再構成して機能解析しました。これにより、Mep45は自身のカルボキシ末端側341アミノ酸残基で孔サイズ直径約1.16nmの外膜チャネル(ポリン)を形成することを明らかにしました。本チャネルは酸性化合物をよく通過させる性質を示し、有機酸などの酸性低分子化合物を栄養源とする本菌の栄養生理に適合していることがわかりました。ルーメン細菌の代謝・生理は反芻動物の栄養生理に直結します。本研究成果はルーメン細菌の細胞生理の基礎的理解に貢献します。 本成果は日本農芸化学会が発行する英文誌 Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry (オンライン版)に6月7日付けで掲載されました。 掲載論文: Kojima, S., Hayashi, K., Tochigi, S., Kusano, T., Kaneko, J., and Kamio, Y. (2016), "Peptidoglycan-associated outer membrane protein Mep45 of rumen anaerobe Selenomonas ruminantium forms a non-specific diffusion pore via its C-terminal transmembrane domain", Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry, Biosci Biotech Biochem (in press) 現代医療に大きな問題を引き起こしている薬剤耐性菌の多くはグラム陰性細菌が占めます。薬剤耐性の主因は、外膜の存在により薬剤の細胞内への流入が制限されること、加えて、流入した薬剤を細胞外へ排出する仕組みを持っている点にあります。薬剤耐性問題の解決には、外膜の透過障壁性および薬剤排出活性を回避する方策を考える必要があります。 児島征司助教は、β-ラムタム系抗生物質の大腸菌外膜透過および排出速度の諸定数を用いて計算した結果、外膜透過障壁性を約4倍程度低下させることができれば、排出活性の阻害と同等の効果をもたらして細胞を薬剤高感受性化できることを明らかにしました。これに加えて、大腸菌において、外膜の安定的維持に重要なTol-Pal 蛋白質複合体を欠損すると外膜透過障壁性が実際に約4倍程度低下することを明らかにし、Tol-Pal 複合体の機能阻害が薬剤耐性問題解決に向けた一つのターゲットと成り得ることを示しました。本成果は日本感染症医薬品協会が発行する英文誌 The Journal of Antibiotics (オンライン版)に 5 月 11 日付で掲載されました。 掲載論文: Kowata, H., Tochigi, S., Kusano, T., and Kojima, S. (2016), "Quantitative measurement of the outer membrane permeability in Escherichia coli lpp and tol-pal mutants defines the significance of Tol-Pal function for maintaining drug resistance", The Journal of Antibiotics, doi: 10.1038/ja.2016.50 児島助教は、現代医療に大きな問題を引き起こしているグラム陰性細菌の薬剤耐性について、抗生物質の外膜透過と排出速度の観点から、最新の研究成果をまとめて紹介しました。日本農芸化学会が発行する和文誌「化学と生物」の2016年2月号に掲載されました。 掲載された総説: 児島征司 「グラム陰性細菌の多剤耐性―beta-lactam系抗生物質の外膜透過・排出速度の測定結果を例に理解する―」化学と生物 54, 80-82, (2016)
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会議発表・論文・出版2016.08.19
児島 征司 助教(新領域創成研究部) 『Journal of Biological Chemistry』に論文掲載、 および報道発表 プレスリリース/2016年8月8日 新領域創成研究部の児島征司助教は、生命科学研究科草野友延教授および村本光二教授と共同で、原始的な葉緑体と考えられている灰色藻(学名 Cyanophora paradoxa)の葉緑体に、葉緑体一個あたり約100万分子の新奇外膜チャネル蛋白質が二つ存在することを発見し、これらをCppSとCppFと名付けました。 葉緑体の起源は原始真核細胞に細胞内共生した藍色細菌であることが知られていますが、CppS/Fは明らかに藍色細菌とは異なる細菌系統に由来します。葉緑体内外への物質輸送経路の確立には外膜チャネル蛋白質の存在が不可欠ですが、原始的葉緑体において、従来は植物と全く関係ないと思われていた細菌系統由来のチャネル蛋白質がその役割を担っていることが示唆されました。なぜ、どのような過程を経てこのような外来因子が原始的葉緑体の外膜を占めるに至ったのかはわかっていません。本研究成果は葉緑体の成立過程や外膜機能に関する研究に、従来とは異なる視点からの切り口を提供する可能性があります。 本成果は、米国生化学分子生物学会が発行する学術誌 Journal of Biological Chemistryに8月8日付けで掲載されました。 掲載論文: Seiji Kojima, Koji Muramoto, Tomonobu Kusano, "Outer membrane proteins derived from non-cyanobacterial lineage cover the peptidoglycan of Cyanophora paradoxa cyanelles and serve as a diffusion channel", Journal of Biological Chemistry, doi:10.1074/jbc.M116.746131 プレスリリース: 東北大学
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会議発表・論文・出版2016.08.09
高橋 佑磨 助教(新領域創成研究部・現 千葉大助教) 『Molecular Ecology』に論文掲載、および報道発表 プレスリリース/2016年8月9日 新領域創成研究部の高橋佑磨助教(現 千葉大学助教)は、日本に分布の北限をもつアオモンイトトンボを用いて分布限界において進化の制限が生じる機構を野外調査と遺伝学的解析により検証しました。 本研究の成果は、国際科学誌Molecular Ecology電子版に掲載されました。 掲載論文: Yuma Takahashi, Yoshihisa Suyama, Yu Matsuki, Ryo Funayama, Keiko Nakayama And Masakado Kawata, "Lack of genetic variation prevents adaptation at the geographic range margin in a damselfly", Molecular Ecology/DOI:10.1111/mec.13782 プレスリリース: 東北大学