トピックス
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会議発表・論文・出版2019.10.05
新領域創成研究部の金田文寛助教、イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校のPaul Kwiat教授らのグループは、時間多重化法と呼ばれる手法により、世界最高の効率をもつ単一光子発生源の開発に成功しました。単一光子とは光の量の最小単位である光子がただ一つのみ確定的にある光の状態であり、近い将来実現が期待されている量子計算機や量子暗号通信における情報媒体(量子ビット)の有力な候補です。今回の成果は、従来のコンピュータの計算速度を凌駕する量子計算機の実装や高速量子情報技術の実現に重要な役割を果たすことが期待されます。 本研究の成果は米国科学誌Science Advances誌に10月4日に掲載されました。また、同時にイリノイ大学よりプレスリリースされました。 論文情報: F. Kaneda, P. G. Kwiat, "High-efficiency single-photon generation via large-scale active time multiplexing", Science Advances, Vol. 5, eaaw8586 (2019) DOI: 10.1126/sciadv.aaw8586
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会議発表・論文・出版2019.10.01
平成31年度(令和元年度)AMED・革新的先端研究開発支援事業(PRIME)に中嶋悠一朗助教の研究課題が新規採択されました。 採択課題は以下の通りです。 研究開発領域「全ライフコースを対象とした個体の機能低下機構の解明」(機能低下 研究開発領域)ソロタイプ(PRIME) 「原始後生動物における若返り現象の仕組みの解明とその適用による個体機能の活性化」 情報掲載ページ(国立研究開発法人日本医療研究開発機構): https://www.amed.go.jp/koubo/04/02/0402C_00018.html
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研究会等のお知らせ2019.10.01
発表者: 鈴木 正敏(情報科学研究科 / 情報・システム領域) 石井 花織(環境科学研究科 / 人間・社会領域) 草間 太郎(歯学研究科 / 人間・社会領域) ほか 場所: 学際科学フロンティア研究所1階 大セミナー室 ■全領域合同研究交流会について
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会議発表・論文・出版2019.09.27
ロボットが人間社会でますますユビキタス化されると、ロボットの性能の研究は、さまざまなアプリケーションや文化的背景の異なる国での雇用に対するロボットのパフォーマンスと適切性を評価するために重要になります。 歴史を通して、宗教はすべての人間文化の主要な要素であり、自動化のアイデアに関する宗教的な解説の長い歴史があります。 新奇のロボットプラットフォームとアプリケーションがすでに宗教のテーマに触れ始めている今が、この潜在的に物議を醸すトピックについて議論を始める時機です。 新領域創成研究部の翁 岳暄 助教は、道教が将来の人間とロボットの相互作用における倫理的に整合したデザインの使用に与える影響を分析した結果をまとめた論文を「International Journal of Social Robotics」誌にて発表し、9月25日にオンライン掲載されました。 論文情報: Yueh-Hsuan Weng, Yasuhisa Hirata, Osamu Sakura, Yusuke Sugahara, "The Religious Impacts of Taoism on Ethically Aligned Design in HRI", International Journal of Social Robotics, 2019 DOI: 10.1007/s12369-019-00594-z https://link.springer.com/article/10.1007/s12369-019-00594-z
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会議発表・論文・出版2019.09.20
宇宙には数多くの銀河がありますが、それぞれの銀河の中心には太陽質量の100万倍から100億倍にもおよぶ超巨大ブラックホール (supermassive black hole; SMBH) が存在することが知られています。このSMBH自体は光を出すことがないため観測することは困難ですが、まわりにあるガスがSMBHに落ちはじめると、その重力エネルギーを開放することで非常に明るく輝くことが知られています。このような天体を活動銀河核と言い、今まさしくSMBHが太っている現場であることからSMBH質量の起源をさぐる重要天体として長らく観測がされてきました。それにも関わらず、この活動銀河核がどの程度のあいだ活動するのか (=ものを食べて太るのか) は観測的には制限がついておらず、それどころか活動をはじめたり、また活動をやめる現場さえも観測的には今まで見つかっていませんでした。 新領域創生研究部の市川幸平助教は川室太希 JSPS fellow (国立天文台) らと共同で、Arp 187という銀河に今まさしく活動をやめた活動銀河核が存在することを明らかにしました。NASA NuSTAR X線衛星の観測と多波長観測データを合わせることで、この活動銀河核は現在すでに活動をやめており、過去1000-1万年の間におよそ1000-1万倍ほど光度を落としたことがわかりました。このような急速な光度変動は過去に知られておらず、活動銀河核へのガス降着を急激に少なくする必要があることから、ガス降着は非連続的に起きることを示唆しています。 本研究は、北海道大学、東北大学、名古屋大学によるコンソーシアム「次世代研究者育成プログラム」の支援により行われ、その研究成果をまとめた論文が2019年9月19日「The Astrophysical Journal Letters (ApJL)」のオンライン版に掲載されました。 論文情報: Kohei Ichikawa, Taiki Kawamuro, Megumi Shidatsu et al., "NuSTAR Discovery of Dead Quasar Engine in Arp 187", The Astrophysical Journal Letters. DOI: 10.3847/2041-8213/ab3ebf URL: https://iopscience.iop.org/article/10.3847/2041-8213/ab3ebf
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会議発表・論文・出版2019.09.18
新領域創成研究部の鈴木勇輝助教は、東京工業大学 情報理工学院の瀧ノ上正浩准教授、石川大輔研究員(現首都大学東京)、東京農工大学の川野竜司准教授、東京大学 大学院総合文化研究科の柳澤実穂准教授、京都大学の遠藤政幸准教授らと共同で、DNAオリガミ(用語1)で作製したDNAナノプレートによって細胞膜を模倣した、人工細胞(微小カプセル、図1)の開発に世界で初めて成功しました。 人工的な膜に細胞膜のような複雑な機能を持たせるには、性質や機能を自在に設計可能な物質を材料とする必要がありました。今回開発した、DNAを膜の材料とする微小カプセルでは、DNAの塩基配列を設計することで膜の機能を自在に設計でき、"プログラム"した機能をコンピュータソフトウェアのようにインストールできます。この技術は、分子コンピュータ/分子センサーを搭載した分子ロボット(用語2)や薬剤送達等への応用が期待されます。 研究成果をまとめた論文は9月13日(現地時間)にドイツ化学会誌「Angewandte Chemie International Edition」のオンライン版で公開され、9月18日に東京工業大学、東北大学、東京農工大学、東京大学、京都大学よりプレスリリースされました。 図1. DNAオリガミによる人工細胞微小カプセルのイメージ 用語説明: (1)DNAオリガミ:長い1本鎖DNA(主に7,000~8,000塩基)と多数の短い1本鎖DNA(数十塩基)から構成される、二次元・三次元のDNAナノ構造体。作りたい形状に合わせて、長い1本鎖DNAを一筆書き状に折りたたみ、相補となるように設計された短い1本鎖で固定することで、数十ナノメートルの構造体を作製できる。カリフォルニア工科大学のPaul Rothemund博士によって2006年に報告された。 (2)分子ロボット:外部から分子の信号を受信し、分子の計算によって判断を下すことで、その環境に対して自律的に反応する、感覚・知能・動作を併せ持つ人工的な分子システム。 論文情報: Daisuke Ishikawa, Yuki Suzuki, Chikako Kurokawa, Masayuki Ohara, Misato Tsuchiya, Masamune Morita, Miho Yanagisawa, Masayuki Endo, Ryuji Kawano, Masahiro Takinoue*, " DNA Origami Nanoplate-Based Emulsion with Designed Nanopore Function", Angewandte Chemie International Edition DOI:10.1002/anie.201908392 プレスリリース: https://www.tohoku.ac.jp/japanese/2019/09/press20190918-02-dna.html
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会議発表・論文・出版2019.09.18
太陽の8倍以上の質量を持つ大質量星はその誕生から死に至るまで多様な形で周辺の星々に影響を与えるとともに、超新星爆発で放出される重元素を通じて銀河や宇宙の進化にも関わる重要な天体です。その一方で、大質量星がどのように形成されるのかは不明点が数多く残されているのが現状です。その理由として、数の少ない大質量星は比較的遠方にあり、またガスや塵に埋もれた状態で誕生するので、地上から観測のしやすい可視光線や近赤外線などの波長ではその内部を細部まで見通すことが難しいことが挙げられます。 新領域創成研究部の市川幸平助教は、内山瑞穂研究員(国立天文台)と共同で、赤外線全天観測衛星WISEのアーカイブデータを用いることで、赤外線大質量原始星カタログおよそ800天体の中から顕著な中間赤外線光度変動を示す天体を5つ発見しました。中間赤外線はガスや塵に対する吸収に強く、今回発見された中間赤外線光度変動は細部をいままで直接見られなかった天体やその周辺で起こる天体現象の情報を色濃く反映しています。今回の研究によって初めて中間赤外線で大質量原始星の光度変動現象が網羅的に探査され、最低でも1.5%以上の大質量原始星が中間赤外線で光度変動を示すこと、そのパターンや原因は太陽のような軽い星と同様に多彩である可能性が示唆されました。 本研究は、北海道大学、東北大学、名古屋大学によるコンソーシアム「次世代研究者育成プログラム」の支援により行われ、その研究成果をまとめた論文が2019年9月17日「The Astrophysical Journal (ApJ)」のオンライン版に掲載されました。 論文情報: Mizuho Uchiyama and Kohei Ichikawa, “WISE Discovery of Mid-infrared Variability in Massive Young Stellar Objects”, The Astrophysical Journal DOI: 10.3847/1538-4357/ab372e URL: https://iopscience.iop.org/article/10.3847/1538-4357/ab372e
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研究会等のお知らせ2019.09.13
学際科学フロンティア研究所共催研究会 第4回 東北大学イスラム圏研究会「イスラーム学際研究の試み:若手研究者の交流を通して」 東北大学イスラム圏研究会は、日本のイスラームをめぐる理解や情報不足のなか、多角的で、かつ学際的なアプローチにより、イスラームの多様なあり方を研究分析し発信すべく、ささやかな試みではありますが、2017年秋に研究会を発足させました。現在まで、中東を皮切りに、中国、中央アジア、そして在日ムスリムや東南アジアのイスームのあり方について、市民向けに公開の講演会開催を3回積み重ね、学際的なイスラーム圏研究の一端を広く紹介してまいりました。 第4回目は、今までの3回とは趣を変えて、一般向けの成果発信よりも、東北大学を中心に東北地方での、イスラーム圏の研究に従事する若手の研究者・学生の研究交流の場とし、併せてそうした場においてお互いに研究テーマや研究方法を発表や討論しあい、あるいはシニア研究者からの助言やコメントを通して、切磋琢磨できる交流の会としたいと考えております。 こうした場で、自らの日ごろの研究の成果を発表し、討論やコメントを通して研究に錬磨をかけることを希望される方の発表と参加を募ります。 現在のところ、学際科学フロンティア研究所、文学研究科、国際文化研究科などの若手研究者や大学院生の発表を予定しています。 参加は自由です(参加費無料・事前登録不要)。学内外の研究者や一般の方々も大歓迎しております。 主催/東北大学イスラム圏研究会 会長 黒田卓(東北大学大学院国際文化研究科 教授) 事務担当 アリムトヘテイ (東北大学学際科学フロンティア研究所 助教) 共催/東北大学大学院国際文化研究科、東北大学学際科学フロンティア研究所 会場:東北大学川内北キャンパス国際文化研究棟1F講義室111 問い合わせ 「イスラム圏研究会」事務局 E-mail:@
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受賞2019.09.12
学際科学フロンティア研究所の當真賢二准教授が参加しているイベント・ホライズン・テレスコープチームが2019年4月10日に発表したブラックホールシャドウ撮像の成果に対して、2020 Breakthrough Prize in Fundamental Physics(2020年基礎物理学ブレークスルー賞)が授与されることが決定しました。 米国のブレークスルー・プライズ財団により2012年に設けられた本賞は、生命科学、基礎物理学、数学の3分野における飛躍的成果に対して贈られる国際的な学術賞です。 詳細URL: ブレークスルー賞(英語) https://breakthroughprize.org/News/54 イベント・ホライズン・テレスコープ・ジャパン https://www.miz.nao.ac.jp/eht-j/c/news/announce/20190909-1 (Credit: EHT Collaboration)
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受賞2019.09.09
木村 萌さん(増本グループ修士2年生) 国際会議 PRICM10(The 10th in a series of international conferences devoted to advanced materials and processing)で「Excellent Poster Presentation Award」を受賞(受賞日/2019年8月20日) 増本研究室の木村 萌さん(修士2年)が、国際会議 PRICM10(the 10th in a series of international conferences devoted to advanced materials and processing:2019年8月18-22日:西安曲江国際会議センター、中国)において、「Excellent Poster Presentation Award」を受賞しました。 本賞は、本国際会議のポスターセッション発表の中で、優れた内容の発表に対して与えられる賞です。 この成果は、東北大学および電磁材料研究所の共同研究により得られたものです。 タイトル: Structure, Magnetic and Dielectric Properties of Co-SrTiO3 Nano-composite Films 受賞者名: 木村 萌(増本研究室 修士2年) 曹 洋 (新領域創成研究部 物質材料・エネルギー領域) 青木 英恵(新領域創成研究部 物質材料・エネルギー領域) 小林 伸聖 (電磁材料研究所、学際研客員教授) 大沼 繁弘 (電磁材料研究所) 増本 博(先端学際基幹研究部 物質材料・エネルギー領域) (左)木村萌 氏 (右)Prof. Chuang DONGオーガナイザー