トピックス
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研究会等のお知らせ2020.09.17
Google MeetによるWeb開催となります。 教育院生及び学際研関係者以外の方で参加をご希望の方は10月6日(火)までに下記のフォームから申し込みをお願い致します。 追って参加方法等についてご連絡致します。 申込書フォーム https://forms.gle/CTN3MsYunfNk1w5n8 日時: 10月8日 (木) 13:00~ 発表者: 伊藤 智之 博士教育院生(工学研究科 / 生命・環境領域) 伊東 燦 博士教育院生(工学研究科/ デバイステクノロジー領域) 笹山 知嶺 博士教育院生(工学研究科 / 生命・環境領域) ほか 場所: オンラインセミナー(Google Meetで開催) ■全領域合同研究交流会について
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会議発表・論文・出版2020.09.15
学際科学フロンティア研究所 新領域創成研究部の楠山譲二助教らによる、母親と父親の運動が将来の子供の生活習慣病リスクを軽減させる効果に関する総説(Review article)が、英国の科学雑誌『Nature Metabolism』に2020年9月14日に掲載されました。 母子および父親の肥満と2型糖尿病は、子供が健康的なライフスタイルを送っているにもかかわらず、子供の生活習慣病の発症リスクを上昇させることが知られています。複数の研究で、母親と父親の定期的な運動が、マウス・ラットにおいて加齢に伴う代謝性障害を防ぎ、子の健康に様々な有益性をもたらすことが実証されています。楠山譲二助教らは、母親の運動効果を子に伝達するメカニズムの解明と、疾患リスクが世代を超えて伝播する悪循環を防ぐ方法の確立を目指す研究を行っています。本総説は、両親の運動が子の糖代謝恒常性に関わる臓器群の生理的適応に与えるメリットに焦点を当て、親の運動の影響を媒介する胎盤と精子の役割に関する最新の研究を解説したものです。 本研究は、ハーバード医科大学 ジョスリン糖尿病センターとの共同研究です。 総説情報: Joji Kusuyama, Ana Barbara Alves-Wagner, Nathan S. Makarewicz, Laurie J. Goodyear, “Effects of maternal and paternal exercise on offspring metabolism”, Nature Metabolism 2020. DOI: 10.1038/s42255-020-00274-7 https://www.nature.com/articles/s42255-020-00274-7 SharedIt: https://rdcu.be/b7bC6
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会議発表・論文・出版2020.09.14
先端学際基幹研究部の津田健治教授は、東京大学大学院新領域創成科学研究科、同大学院工学系研究科、東北大学多元物質科学研究所、株式会社村田製作所との共同研究において、結晶に内在する「時計回り、反時計回り」構造の共存状態(強軸性ドメイン)を可視化することに成功しました。 結晶構造に内在する原子配置の回転歪みで特徴づけられる秩序を持つ物質は「強軸性」物質と呼ばれ、左右2つの回転状態を識別・制御することで強磁性体や強誘電体などのようにメモリや光学素子といった応用への可能性が期待できます。しかしながら、強軸性物質においては、強磁性体や強誘電体などに共通して現れるドメインの観測はこれまで報告がありませんでした。 本研究では、電場変調イメージング技術を応用した光学的手法および走査型透過電子顕微鏡(STEM)と収束電子回折(CBED)を組み合わせた手法によって、強軸性ドメインを可視化することに初めて成功しました。強軸性ドメイン観測を可能とする測定手法が確立されたことにより、新たな物性としての強軸性に関する研究が加速し、さらには強軸性物質を用いた新規な光学素子などの開発につながることが期待されます。 図1.電場が印加されたNiTiO3における電場誘起の旋光角の変化(電気旋光効果)を表す概念図。時計回りおよび反時計回り構造を持つそれぞれの強軸性ドメインでは、電場誘起の旋光角の符号が反転する 本研究成果は、9月11日に『Nature Communications』誌に掲載され、同日の情報解禁にて東京大学および本学よりプレスリリースされました。 論文情報: T. Hayashida, Y. Uemura, K. Kimura, S. Matsuoka, D. Morikawa, S. Hirose, K. Tsuda, T. Hasegawa, and T. Kimura, "Visualization of ferroaxial domains in an order-disorder type ferroaxial crystal", Nature Communications 11, Article number: 4582 (2020) DOI: 10.1038/s41467-020-18408-6 https://www.nature.com/articles/s41467-020-18408-6 プレスリリース: 東京大学大学院新領域創成科学研究科 http://www.k.u-tokyo.ac.jp/info/entry/22_entry902 東北大学 https://www.tohoku.ac.jp/japanese/2020/09/press20200909-03-denba.html
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会議発表・論文・出版2020.09.11
最も有名な自然毒の一つである神経毒テトロドトキシンは、海洋のフグや巻貝、陸棲の両生類であるイモリやカエルに含まれ、世界中に分布します。他に類を見ない複雑な化学構造と強力な毒性から長年研究が盛んに行われているものの、複雑な構造が自然界でどのように構築されるか(生合成)は未だ大きな謎となっています。 今回、新領域創成研究部の工藤雄大助教、東北大学大学院 農学研究科の山下まり教授らはユタ州立大学生物学科のCharles T. Hanifin准教授との国際共同研究にて、日本産・アメリカ産の有毒のイモリから、テトロドトキシンの新たな類縁体および環状グアニジノ化合物を複数発見しました。得られた新規成分の化学構造を解析し、その情報をもとに陸上における生合成経路を推察しました。これらの研究成果は、陸上生物におけるテトロドトキシンの生合成経路解明への手がかりと成り得ます。 本成果についてまとめた論文(Article)をアメリカ化学会誌(ACS)「Journal of Natural Products」誌にて発表し、2020年9月8日付でオンライン版が掲載されました。本論文はACS Editors' Choiceとして選定されており、オープンアクセスとなっております。 論文情報: Yuta Kudo, Charles T. Hanifin, Yuichi Kotaki, and Mari Yotsu-Yamashita* (*corresponding author), "Structures of N-Hydroxy-Type Tetrodotoxin Analogues and Bicyclic Guanidinium Compounds Found in Toxic Newts", Journal of Natural Products, DOI: 10.1021/acs.jnatprod.0c00623 https://pubs.acs.org/doi/10.1021/acs.jnatprod.0c00623
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会議発表・論文・出版2020.09.10
東北大学大学院生命科学研究科の常松友美 助教(学際科学フロンティア研究所兼任)と学際科学フロンティア研究所の佐栁友規 学術研究員は、公益財団法人東京都医学総合研究所の夏堀晃世 主席研究員と本多真 副参事研究員、東北大学大学院生命科学研究科の松井広 教授、東北工業大学の辛島彰洋 准教授、Max-Planck-InstituteのKlaus-Armin Nave 教授、慶應義塾大学の田中謙二 准教授らと共同で、生きたマウスの脳内エネルギー計測に成功し、動物の睡眠―覚醒に伴い、神経の細胞内エネルギーが大脳皮質の全域で変動していることを発見しました。神経の細胞内エネルギーは動物の覚醒時に増加し、ノンレム睡眠中に低下、そしてレム睡眠中に特に大きく低下していました。 本研究は、生きた動物の脳内で"細胞のエネルギーレベルが常に一定に保たれる"という従来の予想を覆し、脳のエネルギー調節機構が動物の睡眠覚醒に合わせ、神経細胞内エネルギーを積極的に変動させている可能性を新たに示しました。 この研究成果は、2020年9月7日(月曜日)10時(英国時間)に英国科学誌『Communications Biology』にオンライン掲載され、9月8日に本学よりプレスリリースされました。 (a) 大脳皮質の神経細胞内ATP濃度は動物の覚醒時に高く、ノンレム睡眠中に低下、レム睡眠中にさらに大きく低下した。脳血流量はATPと逆向きの変動を示した。 (b) 動物の睡眠覚醒に伴う神経細胞内ATP変動は、大脳皮質(点線内)の全域でシンクロして生じた。 論文情報: Akiyo Natsubori, Tomomi Tsunematsu, Akihiro Karashima, Hiromi Imamura, Naoya Kabe, Andrea Trevisiol, Johannes Hirrlinger, Tohru Kodama, Tomomi Sanagi, Kazuto Masamoto, Norio Takata, Klaus-Armin Nave, Ko Matsui, Kenji F. Tanaka & Makoto Honda, "Intracellular ATP levels in mouse cortical excitatory neurons varies with sleep–wake states", Communications Biology volume 3, Article number: 491 (2020) DOI: 10.1038/s42003-020-01215-6 https://www.nature.com/articles/s42003-020-01215-6 プレスリリース: (公財)東京都医学総合研究所 http://www.igakuken.or.jp/topics/2020/0907.html 東北大学 http://www.tohoku.ac.jp/japanese/2020/09/press20200904-01-rem.html 東北大学大学院生命科学研究科 https://www.lifesci.tohoku.ac.jp/research/results/detail---id-49566.html
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研究会等のお知らせ2020.09.09
※Google Meetで行います。 FRIS Hub Meetingは、FRISの研究者全員が参加する研究発表セミナーで、月に一度8月を除く毎月第4木曜日に開催しています。これまで参加者はFRIS内の研究者を対象としていましたが、2019年12月より、対象を東北大学の研究者、学生へと広げました。 言語は日本語と英語を混ぜて使用しています。異分野研究者同士では共通の常識や考え方は望めません。聴衆は発表中にどんどん質問し、討論し、理解を深めるようにしています。積極的にご参加ください。 第14回 FRIS Hub Meeting 日時:2020年9月24日(木)11:00-12:00 Google Meetで行います(※開始時間前の入室厳禁) 事前登録が必要になります。参加申し込みフォームよりご登録ください。 発表者: 馬渕 拓哉 助教(学際科学フロンティア研究所 新領域創成研究部/物質材料・エネルギー) 発表タイトル: 分子の世界を可視化する(Visualizing the molecular world) 要旨: 小さな分子、特にイオンが複雑に入り組んだ構造の中を輸送するとき、どのような経路を輸送し、どのくらいの速さで通過(伝導・拡散)することができるのか?ナノスケールの世界で起きているイオン輸送現象は、高分子材料から細胞内イオンチャネルのイオン輸送まで、幅広い分野で重要な役割を担っている。私はこういった実験では見ることの難しい時空間スケールの現象を理論(分子シミュレーション)の力で解明することを目指している。今回のHub meetingでは、その研究成果の一部と今後の研究展開について紹介する。 ◆FRIS Hub Meetingについて
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会議発表・論文・出版2020.09.03
新領域創成研究部の楠山譲二助教が、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の令和2年度医療分野国際科学技術共同研究開発推進事業(Interstellar Initiative)の研究者に選抜されました。 本事業は、日本の若手研究者が世界各国の若手研究者とネットワークを構築し、研究計画を立案、国際的な研究グラントに応募して国際共同研究に繋げることを趣旨とするプログラムです。 日本を含む世界中から公募、審査で選抜された若手研究者が国際的・学際的チームを構成し、各チームはAMEDが招聘する著名研究者(メンター)の指導のもと、2回のワークショップを経て、医療分野の難課題を解決する研究計画を立案することになっています。 短期的には国際グラントの応募を、中長期的には国際共同研究の増加や医療ニーズに応える革新的新規シーズの継続的な創出等を目的として掲げられています。 医療分野国際科学技術共同研究開発推進事業(Interstellar Initiative): https://www.amed.go.jp/program/list/20/01/005.html 採択結果 https://www.amed.go.jp/koubo/03/01/0301C_00063.html
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会議発表・論文・出版2020.08.31
東北大学 学際科学フロンティア研究所 津村 耕司 客員准教授(東京都市大学 理工学部 自然科学科 准教授)は、海洋生物の化石データから、地球上の生命が絶滅しなかった確率を推定する方法を提案し、この成果がSpringer Nature社の発行するScientific Reports誌に、7月30日付で掲載され、8月27日に東京都市大学および本学よりプレスリリースされました。 地球の過去5億4000万年における海洋生物の化石データベースを用いて、地球上の生物の大絶滅の規模と頻度を解析することで、地球上の生命の誕生から現在までの約40億年間に生命が絶滅せずに生き残れた確率は約15%であると推定しました。現在までに4000を超える太陽系外惑星が発見され、次は地球外生命の初発見が期待されていますが、今回の成果は、太陽系の外で生命を宿すような天体の数を推定する際にも応用が可能です。 論文情報: Tsumura, “Estimating survival probability using the terrestrial extinction history for the search for extraterrestrial life”, Scientific Reports, 10, 12795, (2020) DOI: 10.1038/s41598-020-69724-2 https://www.nature.com/articles/s41598-020-69724-2 プレスリリース: 東北大学 http://www.tohoku.ac.jp/japanese/2020/08/press20200827-01-earth.html
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会議発表・論文・出版2020.08.18
金属ガラスは優れた機械的、磁気的特性や加工成型性をもつ一方で、その変形機構に起因する室温での脆性が問題となっていました。本研究所のRyu Wookha学術研究員、山田類助教、才田淳治教授のグループは、金属ガラスの緩和状態(構造の乱雑性)を制御する技術として、2次元傾斜急冷技術を開発し、連続的に構造の異なるガラスを作製できることに成功しました。 今回の研究では、金属ガラスにおいてランダムな原子配列を試料内に連続的に2次元傾斜させて制御するという、全く新しい高度な構造制御法を開発することで、新たな材料創製と優れた特性を発現できる可能性が考えられ、本分野の学術研究に大きな知見を与えるものと考えられます。 本研究は科学研究費補助金基盤研究A(No. 18H03829)および学際科学フロンティア研究所「学際研究促進プログラム」の支援を受けて実施されたもので、成果をまとめた論文は英国の科学雑誌「NPG Asia Materials」に令和2年7月31日に掲載され、8月18日に本学よりプレスリリースされました。 論文情報: W.H. Ryu, R. Yamada and J. Saida, "Tailored hardening of ZrCuAl bulk metallic glass induced by 2D gradient rejuvenation", NPG Asia Materials, 2020 DOI: 10.1038/s41427-020-0233-8 https://doi.org/10.1038/s41427-020-0233-8 プレスリリース: 東北大学 http://www.tohoku.ac.jp/japanese/2020/08/press20200818-01-glass.html
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会議発表・論文・出版2020.08.18
新領域創成研究部 山田 類 助教、先端学際基幹研究部 才田淳治 教授およびと国立研究開発法人 物質・材料研究機構(NIMS) 柴崎裕樹 研究員(現、高エネルギー加速器研究機構 物質構造科学研究所)らの研究グループは、Zr50Cu40Al10金属ガラスに高圧熱処理を行うことによって、結晶化過程において特異なナノ結晶組織が安定的に生成し、高強度化がもたらされることを明らかにし、英国の科学誌Communications Materialsに発表しました。 研究グループでは、2019年に当該組成の金属ガラスを高圧熱処理することで、高密度のアモルファス構造が導入されることを報告していました。今回の研究は、そのような高密度状態にある高圧熱処理金属ガラスの結晶化過程では、特異なナノ結晶が安定的に生成することを確認し、それによって高強度化がもたらされることを明らかにしました。 本成果は、文部科学省科学研究費補助金 基盤研究A(18H03829)等の支援を受けて行われた研究です。 掲載論文: High-pressure annealing driven nanocrystal formation in Zr50Cu40Al10 metallic glass and strength increase Yuki Shibazaki, Rui Yamada, Junji Saida, Yoshio Kono, Masato Wakeda, Keiji Itoh, Masahiko Nishijima & Koji Kimoto Communications Materials volume 1, Article number: 53 (2020) DOI https://doi.org/10.1038/s43246-020-00057-3