東北大学
学際科学フロンティア研究所

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青木英恵助教『Journal of Magnetism and Magnetic Materials』誌に論文掲載

2021年11月29日『Journal of Magnetism and Magnetic Materials』誌に論文掲載

2021.12.07

ナノ粒子を扁平化、直流および交流2種類のトンネル効果を縦横にハイブリッド化することに成功 デバイスの省電力化や機能化の新規開拓に期待

金属中の電子が数nmの薄いセラミクスの壁をすり抜けて反対側へ移る現象は、あたかも電子がトンネルするように映ることから「トンネル伝導」と呼ばれ、磁性金属を用いると外部磁界によりその大きさが制御可能(「トンネル磁気抵抗効果」)なため、磁界センサなどへの応用がなされています。
 
直径わずか2-3nmの磁性ナノ粒子がセラミクス中に分散するナノグラニュラー膜は、粒子が密な状態では直流のトンネル磁気抵抗効果が、粒子が粗な状態では交流のトンネル磁気誘電効果がそれぞれ発現しますが、直流-交流の両特性を組み合わせた膜構造は提案されていません。
 
学際科学フロンティア研究所の青木英恵助教は、従来、球形しか報告がなかったナノ粒子の形状変化に着目し、交互堆積(タンデム)手法を改良したスパッタ薄膜作製法により直径10nm以下のナノ粒子が扁平化した新しいタイプのナノグラニュラー膜の作製に成功しました。そして、縦横方向の粒子間隔の違いから、膜面内方向には直流のトンネル磁気抵抗効果、面直方向には交流の磁気誘電効果がそれぞれ発現することを明らかにしました。
 
本論文では、簡単にスパッタ法でナノ粒子の形状が制御可能であることを実証し、かつ直流および交流2種類のトンネル効果を縦横にハイブリッド化することに成功したことを報告しました。今後、本手法を利用した新規材料開発が期待されます。
 
本研究成果は2021年11月29日に『Journal of Magnetism and Magnetic Materials』誌に掲載されました。
 
 

絶縁体をすり抜ける電子のトンネル伝導のイメージ(左)、本研究で提案した直流-交流ハイブリッド型トンネリング薄膜のコンセプト(右)
 
扁平磁性ナノ粒子が配列するナノグラニュラー膜の断面図。セラミクス層を隔てた縦横の粒子間隔はそれぞれ1.9および0.9nmであり、縦方向には交流のトンネル磁気誘電効果(0.4%)が、横方向には直流のトンネル磁気抵抗効果(3%)が得られた。
 
論文情報:
Hanae Kijima-Aoki, Shigehiro Ohnuma, Nobukiyo Kobayashi, and Hiroshi Masumoto,
 “DC and AC tunneling magnetoelectric responses of cobalt lateral nanogranular films”,
Journal of Magnetism and Magnetic Materials
DOI: 10.1016/j.jmmm.2021.168890
https://doi.org/10.1016/j.jmmm.2021.168890
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