東北大学
学際科学フロンティア研究所

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田中幹人 助教(新領域創成研究部)

2017.08.03

田中 幹人 助教(新領域創成研究部)

『The Astrophysical Journal』に論文掲載、
および報道発表

プレスリリース/2017年8月3日


新領域創成研究部の田中幹人助教は、国立天文台の研究者との共同研究において、すばる望遠鏡に搭載された超広視野主焦点カメラ Hyper Suprime-Cam(ハイパー・シュプリーム・カム、HSC)を使い、地球から2283万光年の距離にある渦巻銀河NGC 4631(通称、クジラ銀河)とその周辺を広域観測しました。その結果、銀河の歴史を解明する上で重要な情報源となる「銀河の化石」を13個(恒星ストリーム2個と矮小銀河11個)発見しました。加えて、これほど遠方にある銀河の化石をこれほどたくさん、一つ一つの恒星に分解して捉えた例としては世界で初めてです。
クジラ銀河は私たちの住む銀河系やお隣のアンドロメダ銀河に比べて小さく、そして周りの銀河と激しく影響し合っている特殊な環境にいる銀河であることから、今回の発見は銀河の歴史の多様性を理解する上で重要な手掛かりになると期待されます。

本研究成果は、6月22日にThe Astrophysical Journal誌に掲載されました。

論文情報:
Mikito Tanaka, Masashi Chiba, and Yutaka Komiyama, “Resolved Stellar Streams around NGC 4631 from a Subaru/Hyper Suprime-Cam Survey”, The Astrophysical Journal, Volume 842, Number 2
DOI: 10.3847/1538-4357/aa6d11

参考ウェブサイト:
今回観測したHSCの画像を以下のリンク先でご覧頂けます。
http://hsc.mtk.nao.ac.jp/LUGal/NGC4631/

リンク先にアクセスしていただくと、図1のような画像を見ることができます。画像はお好みでHSC画像等倍まで拡大してご覧頂けます。図2は、今回の観測で発見した矮小銀河ですが、HSCのデータ量は膨大であるため、これらの矮小銀河以外にも銀河の化石が画像内に埋もれている可能性があります。HSC画像から銀河の化石を発掘してみましょう。

図1 1HSC観測画像

図2 今回の観測で発見した矮小銀河

最上段右(3)は、先行研究で矮小銀河だと思われていましたが、HSCによる高解像度画像から、背景の銀河や手前にある恒星などクジラ銀河とは関係がない天体が重なって見えていただけだということが分かりました。

プレスリリース:
東北大学  東北大学理学部・理学研究科  国立天文台すばる望遠鏡

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