東北大学
学際科学フロンティア研究所

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「偏光によるブラックホールジェットの研究」

2017.04.27

當真 賢二 助教(新領域創成研究部)

「偏光によるブラックホールジェットの研究」

平成29年度 文部科学大臣表彰若手科学者賞


新領域創成研究部の當真賢二助教は、『平成29年度 科学技術分野の文部科学大臣表彰若手科学者賞』を受賞しました。受賞の対象となった研究業績の概要は、以下の通りです。

ブラックホールは強い重力によって光さえも脱出できない空間のことをいいます。2016年、アインシュタインが予言した重力波が初検出され、それによってブラックホールの存在が確実になりつつあります。ブラックホールと考えられている天体の中には、光速の99.99%もの極限的な速度でプラズマを噴出させているものがあります。これはジェットと呼ばれ、それがブラックホールによってどう駆動され、どう輝くのかは宇宙物理学における最大の謎の一つとなっています。宇宙最大の爆発現象であるガンマ線バーストも、ブラックホールジェットが引き起こすものと考えられています。
當真賢二助教は、ジェットからの光の振動方向の偏り(偏光)が謎の解明につながることに早くから着目し、研究を行ってきました。氏は世界に先駆けて、ジェットからのガンマ線の直線偏光度分布を理論予測し、それに基づいていくつかの衛星計画を推進させました。その後、実際に偏光が検出され、ジェットの有力な理論モデルを一つに絞り込めることを示しました。また円偏光を初検出した国際チームに加わり、そのデータをもとに、放射領域で電子が極めて非等方であるという新説を提唱しました。
本研究成果は、世界で新たに複数の偏光観測計画が立てられる契機となりました。「高エネルギー偏光天文学」という新しい分野を形成し、学術の発展に大きく寄与すると期待されます。

略歴
1979年、大阪府大阪市生まれ。
2008年、京都大学理学研究科修了、博士(理学)。
国立天文台、米ペンシルバニア州立大学、大阪大学を経て、2013年12月より現職。
第25回日本天文学会研究奨励賞(2014)、第8回日本物理学会若手奨励賞(2014)受賞。

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