東北大学
学際科学フロンティア研究所

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下西 隆 助教(新領域創成研究部) 『The Astrophysical Journal』に論文掲載

2018.03.09

『The Astrophysical Journal』に論文掲載
下西 隆 助教(新領域創成研究部)
 
異なる分野の4人の若手研究者らが連携し、宇宙における分子生成の謎に挑戦しました。
宇宙における氷の生成は、星や惑星が誕生する現場における水や有機分子などの生成過程を理解する上で重要な役割を果たすと考えられています。宇宙での氷の生成メカニズムを正しく理解するためには、星間空間に多量に存在するダストと呼ばれる固体微粒子の表面において、分子の材料となる様々な表面種がどのような挙動を示すのかを明らかにすることが重要です。新領域創成研究部の下西助教は、首都大学東京の中谷准教授、筑波大学の古家助教、北海道大学の羽馬助教とともに、極低温の氷表面における炭素原子、窒素原子、酸素原子の振る舞いを示す指標となる吸着エネルギーと呼ばれる量を理論的に導出する手法を開発しました。その結果、これまで実験的に挙動を観察することが難しかった原子についても、その吸着エネルギーを理論的に求めることに成功しました。さらに、ここで得られたデータを天文学的シミュレーションに応用することにより、新たに得られた物性値が実際の星間空間における分子生成に大きな影響を与えることも明らかにしました。これらの結果は、私たちの身の回りに存在する分子の起源を解明する上で重要な基礎研究となること期待されます。
 
本研究成果は、2018年3月1日付けで科学誌 The Astrophysical Journalに掲載されました。
また本研究は、北海道大学、東北大学、名古屋大学がコンソーシアムを組んで推進する「次世代研究者育成プログラム」の支援を受けて行われました。
 
論文情報:
Takashi Shimonishi*, Naoki Nakatani*, Kenji Furuya, Tetsuya Hama, “Adsorption Energies of Carbon, Nitrogen, and Oxygen Atoms on the Low-temperature Amorphous Water Ice: A Systematic Estimation from Quantum Chemistry Calculations”, ApJ, 855:28, 2018
*co-first and co-corresponding authors
https://doi.org/10.3847/1538-4357/aaaa6a
http://iopscience.iop.org/article/10.3847/1538-4357/aaaa6a/meta
 
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