東北大学
学際科学フロンティア研究所

トピックス

當真賢二 准教授『Nature Astronomy』に論文掲載

11月19日『Nature Astronomy』に論文掲載

2018.11.20

『Nature Astronomy』に論文掲載
中性子星同士の連星が合体すると、金やプラチナなどの重元素が作られてキロノヴァ(注)と呼ばれる増光が起こります。高エネルギー加速器研究機構の久徳浩太郎助教、東北大学 大学院理学研究科の田中雅臣准教授、同じく学際科学フロンティア研究所の當真賢二准教授らの研究グループは、キロノヴァからの光の偏りの精密な数値シミュレーションを行いました。その結果、2017年8月に観測されたキロノヴァAT 2017gfoの小さな光の偏りが、重元素からの光として自然に説明できることが明らかになりました。さらに、もしも非常に重い元素から軽い元素まで多様な重元素が作られていれば、今後新たなキロノヴァを別方向から見た場合に、より大きな光の偏りが検出されうることも明らかになりました(図1)。連星中性子星の合体で作られる重元素の種類を特定するために、光の偏りの観測が有力な道具となることが期待されます。
 
本研究成果をまとめた論文は、2018年11月19日付けで『Nature Astronomy』電子版に掲載されました。
 
(注) キロノヴァ
中性子星同士が合体した後に起こる突発的な増光現象です。超新星爆発(スーパーノヴァ)と似ていますが、爆風として飛ぶ物質の速度がより速いこと、さらに鉄よりも重いr過程元素でできていることにより、ユニークな特徴を示します。具体的には、10日程度の短い間、主に可視光線の赤い側から赤外線にかけて輝きます。これまでキロノヴァが起こることは理論でのみ予想されていましたが、2017年8月、重力波イベントGW170817に引き続いて実際に観測され、AT 2017gfoという名前が付けられました。
 

図1:中性子星合体のグラフィック画像(想像図)。Credit: University of Warwick/Mark Garlick (ESO image)
 
論文情報:
M. Bulla, S. Covino, K. Kyutoku, M. Tanaka, J. R. Maund, F. Patat, K. Toma, K. Wiersema, J. Bruten, Z. P. Jin & V. Testa, "The origin of polarization in kilonovae and the case of the gravitational-wave counterpart AT 2017gfo", Nature Astronomy (2018)
DOI: 10.1038/s41550-018-0593-y
https://www.nature.com/articles/s41550-018-0593-y
 
詳細情報:
高エネルギー加速器研究機構 素粒子原子核研究所
https://www2.kek.jp/ipns/develop/ja/post/2018/11/polar_knovae/
 
 
PAGE TOP