東北大学
学際科学フロンティア研究所

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奥村正樹 助教『Chemical Communications』に論文掲載、およびプレスリリース

11月27日『Chemical Communications』に論文掲載、およびプレスリリース

2018.12.14

小胞体では、免疫グロブリンやインスリンをはじめとした生体機能維持に重要なタンパク質が大量に生産されています。これらタンパク質が正しく機能するためには、ジスルフィド結合形成を伴う立体構造形成、すなわち酸化的フォールディングというステップが欠かせません。しかし、酸化的フォールディングはうまく行かないことがあり、最近ではアルツハイマー病やⅡ型糖尿病といった疾患の引き金となることがわかってきました。
細胞内ではこの酸化的フォールディングを触媒するため、グルタチオンという低分子が使われていますが、フォールディング効率が悪いことが知られていました。
 
そこで、東北大学学際科学フロンティア研究所 新領域創成研究部の奥村正樹助教および松﨑元紀学術研究員は東京農工大学の村岡准教授、東北大学多元物質科学研究所の稲葉謙次教授との共同研究で、グルタチオンに変わる低分子グアニジンチオール(GdnSH)を開発しました。このGdnSHは、グアニジニノ基とチオールを組み合わせたことで、高効率な酸化的フォールディング促進剤であると突き止めました。
GdnSHのような薬剤は、小胞体内の酸化的フォールディング効率を大きく高めることで、今後疾患の治療や予防に寄与すると考えられます。
 
本研究成果は、Royal Society of Chemistryの研究報告誌 "Chemical Communications" の電子版に2018年11月27日に掲載され、表紙に本研究のイメージ画像が用いられました。また、12月14日に東京農工大学と本学よりプレスリリースされました。

論文情報:
S. Okada#, M. Matsusaki#, K. Arai, Y. Hidaka, K. Inaba, M. Okumura* and T. Muraoka* (#equal contribution, *corresponding authors)
"Coupling effects of thiol and urea-type groups for promotion of oxidative protein folding"
Chem Comm, 2018, 11 27, Advance Article
doi: 10.1039/C8CC08657E
https://pubs.rsc.org/en/content/articlehtml/2018/cc/c8cc08657e
 
 
プレスリリース:
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