東北大学
学際科学フロンティア研究所

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郭威 博士、山田類 助教、才田淳治 教授『Nanoscale Research Letters』誌に論文掲載

12月6日『Nanoscale Research Letters』誌に論文掲載

2018.12.14

学際科学フロンティア研究所 先端学際基幹研究部の才田淳治教授グループの教育研究支援者の郭威博士(現:中国 華中科学技術大学)および新領域創成研究部 山田 類助教らは、代表的な金属ガラスであるZr50Cu40Al10の繰り返し液体窒素冷却処理(Cryogenic Cycling Treatment)による構造若返り(未緩和状態への回復)現象を調べ、金属ガラス作製時の鋳造温度と構造若返り挙動に相関があることを見いだし、科学誌Nanoscale Research Letters(Springer Open)に発表しました。
 
金属ガラスはランダム原子配列構造を有しますが、適当な温度で熱処理すると、過剰に導入された空隙や原子配列の局所的な規則化(これらを広く構造緩和と呼びます)を起こすことが知られています。この構造緩和は機械的特性を著しく劣化させるため、その挙動の解明や改善方法が大きな課題となっています。本グループでは、種々の方法によって緩和状態を制御し、未緩和状態への回復(構造若返り)を目指す研究を行っています。郭博士らは、代表的金属ガラスであるZr50Cu40Al10合金において、試料作製時の鋳造温度によって2種類のガラス構造を作製し、それらに繰り返し液体窒素冷却処理を行うことで、異なる構造若返り現象が起きることとそれにともなう機械的特性の変化を見いだし、その機構について考察しました。この成果は金属ガラスにおける新たな構造制御法を提案するものです。
 
本成果は東北大学学際科学フロンティア研究所 学際研究促進プログラム「ランダム原子配列構造制御の基礎科学と新材料・新機能創成への融合展開」(平成26~28年度)の支援を受けて行った研究の一部です。
また本研究は中国 華中科学技術大学との共同研究です。
 
掲載論文:
W. Guo, R. Yamada, J. Saida, Shulin Lu, Shusen Wu: Nanoscale Research Letters : 13 (2018) 398.
Various rejuvenation behaviors of Zr-based metallic glass by cryogenic cycling treatment with different casting temperatures
DOI: 10.1186/s11671-018-2816-7
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