東北大学
学際科学フロンティア研究所

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吉野大輔 助教『AIP Advances』に論文掲載

4月15日『AIP Advances』に論文掲載

2019.04.22

新領域創成研究部の吉野大輔助教と流体科学研究所の船本健一准教授(2019年3月まで本研究所新領域創成研究部 准教授)は、低酸素状態のがん微小環境におけるがん細胞、血管内皮細胞と細胞外基質の相互作用について、米国物理学協会オープンアクセス誌AIP Advancesに論文発表を行いました。また、本論文は、注目度の高い論文として「Editor’s pick」に選定されています。
 
がんの進展と転移のメカニズムを理解するためには、がん細胞と正常細胞で作られるがん微小環境を包括的に分析することが必要不可欠です。本研究では、酸素濃度を制御できるマイクロ流体デバイスにがん細胞、血管内皮細胞、細胞外マトリクスを配置することで、低酸素がん微小環境を模擬するマイクロチップ(がん微小環境模擬チップ)を開発しました。さらに、このマイクロチップを用いて、低酸素環境のがん細胞と血管内皮細胞の相互作用の包括的な解析を試みました。がん細胞と血管内皮細胞の相互作用により細胞周囲の細胞外マトリクスの収縮と分解が促進されますが、低酸素環境では細胞外マトリクスの分解酵素の生成抑制により、その効果が減少することが明らかになりました。この成果は、低酸素環境のがん微小環境のがんの進展と転移のメカニズムの解明に有益な情報をもたらすものです。
 
本研究は、文部科学省科学研究費助成事業、北海道大学、東北大学、名古屋大学がコンソーシアムを組んで推進する「次世代研究者育成プログラム」、東北大学研究所若手アンサンブルグラントなどの支援を受けて実施されました。
 
論文情報:
Daisuke Yoshino, Kenichi Funamoto, Oxygen-dependent contraction and degradation of the extracellular matrix mediated by interaction between tumor and endothelial cells, AIP Advances, Vol. 9, Issue 4, (2019), 045215. DOI: 10.1063/1.5089772
(2019年4月15日 Online掲載)
https://aip.scitation.org/doi/10.1063/1.5089772
 
 
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