東北大学
学際科学フロンティア研究所

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運動神経疾患の新たな原因を発見 細胞内のトラックの暴走が疾患を引き起こす

2019年8月27日『米国科学アカデミー紀要(PNAS)』に論文掲載およびプレスリリース

2019.09.03

東北大学 学際科学フロンティア研究所の丹羽伸介准教授らのグループは、神経細胞内でトラックの役割を果たすKIF1Aモーターと呼ばれる分子の運動を、1分子レベルで観察できる特別な顕微鏡で観察しました。その結果、KIF1Aモーターのブレーキが壊れて神経細胞内を暴走することが遺伝性痙性対麻痺と呼ばれる運動神経疾患の原因であることを突き止めました。KIF1Aモーターの働きを抑えるような薬を作れば、運動神経疾患の新たな治療薬になる可能性があります。KIF1Aモーターのような細胞内のトラックの異常は筋萎縮性側索硬化症(ALS)やアルツハイマー病などとも関係していると言われているため、今回の1分子を解析する方法は他の神経疾患の研究にも応用できると考えられます。
 
図1 神経細胞の中は我々の社会と同じような輸送網が発達している。この輸送網は軸索輸送と呼ばれる。
 
図2 遺伝性痙性対麻痺の患者さんではトラック(=KIF1A)のブレーキが故障して暴走状態になっている。
 
本研究成果については、2019年8月27日に学術誌『米国科学アカデミー紀要 (PNAS)』に論文が掲載され、8月29日に本学よりプレスリリースされました。
 
論文情報
タイトル:Disease-associated mutations hyperactivate KIF1A motility and anterograde axonal transport of synaptic vesicle precursors
著者名:Kyoko Chiba, Hironori Takahashi, Min Chen, Hiroyuki Obinata, Shogo Arai, Koichi Hashimoto, Toshiyuki Oda, Richard J. McKenney, Shinsuke Niwa
掲載誌:Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America (米国科学アカデミー紀要)
DOI: 10.1073/pnas.1905690116
https://www.pnas.org/content/early/2019/08/26/1905690116
 
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