東北大学
学際科学フロンティア研究所

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クラゲの体の成長や触手の発生・再生には細胞増殖が必須 〜新規の原始後生動物研究モデルの確立に向けて〜

2019年8月26日『PeerJ』に論文掲載およびプレスリリース

2019.09.04

新領域創成研究部の中嶋悠一朗助教(生命科学研究科・兼任)は、生命科学研究科大学院生の冨士田壮佑氏、倉永英里奈教授らとともに、クラゲのメデューサ個体の体が成長する過程や触手の形態形成・再生において細胞増殖が必須であることを明らかにしました。
クラゲは約6億年前から地球上に存在する原始後生動物の1種であり、左右相称動物(脊椎動物や節足動物など)とは独立して進化してきたと考えられます。これまで、飼育や系統維持の難しさなどから、クラゲ個体を用いた細胞や分子レベルの研究は困難でした。中嶋助教らは、研究室環境で飼育が容易なエダアシクラゲを用いて、細胞増殖のパターンを詳細に明らかにしました。さらに、クラゲの成長や触手の発生・再生において細胞増殖が必須であることを示しました。
本研究は、原始後生動物であるエダアシクラゲを用いた発生や再生、生理学的な研究の細胞生物学的な基礎となると考えられます。本研究の内容は、大学院生冨士田を筆頭著者、中嶋助教を責任著者として、オープンアクセスのオンライン国際生命科学誌PeerJ(8月26日)に掲載され、9月4日に本学よりプレスリリースされました。

本研究は、以下の文部科学省科学研究費補助金および公益財団法人の研究助成金の支援を受けて行われました。
・文部科学省 新学術領域研究「細胞社会ダイバーシティーの統合的解明と制御」
・文部科学省 若手研究(A)「細胞分裂方向シフトによる上皮可塑性の動的制御機構の解明」
・内藤記念科学振興財団、武田科学振興財団、かなえ医薬振興財団、第一三共生命科学振興財団
 
エダアシクラゲのメデューサ。クラゲが一生の中でとる複数の形態のうちのひとつ
 
論文情報:
タイトル:Cell proliferation controls body size growth, tentacle morphogenesis, and regeneration in hydrozoan jellyfish Cladonema pacificum.
著者名:Sosuke Fujita, Erina Kuranaga, Yu-ichiro Nakajima.
掲載誌:PeerJ 7:e7579, 2019.
DOI: 10.7717/peerj.7579
https://peerj.com/articles/7579/
 
 
 
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