東北大学
学際科学フロンティア研究所

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船本 健一 准教授(新領域創成研究部)

2017.05.15

船本 健一 准教授(新領域創成研究部)

『Integrative Biology』に論文掲載

掲載日/2017年5月10日


 

新領域創成研究部の船本健一准教授は、低酸素負荷に対する血管内皮細胞の単層の初期応答について、国際学術雑誌Integrative Biologyに論文発表を行いました。血管の内腔を覆う血管内皮細胞の単層は、血液と生体組織間の物質交換の制御に寄与し、その破綻は様々な疾患(出血,動脈硬化,がんの転移など)の発症や進展を招きます。本研究では、生体内の低酸素環境が血管内皮細胞の単層の物質透過性に与える影響と、その変化の機序を解明することを目的に、細胞周囲の酸素濃度を制御できる独自のマイクロ流体デバイスを用いた細胞実験を行いました。その結果、血管内皮細胞の単層に低酸素負荷を与えると、細胞間の接着をつかさどるタンパク質であるVE‐カドヘリンの内在化が生じて細胞間の結合性が緩み、細胞層の物質透過性が亢進することが明らかになりました。この成果は、血管新生の制御やがんの転移の抑制、虚血再還流による出血の予防の実現に対して有益な情報をもたらすものです。

本研究は、日本学術振興会 頭脳循環を加速する若手研究者戦略的海外派遣プログラム、文部科学省 研究費補助金、東北大学流体科学研究所 公募共同研究、学際科学フロンティア研究所 領域創成研究プログラムなどの支援の下、東北大学学際科学フロンティア研究所(船本健一准教授,中山勝文准教授,吉野大輔助教)と学内の他部局、マサチューセッツ工科大学との国際共同研究として実施されました。

論文情報:
Kenichi Funamoto, Daisuke Yoshino, Kento Matsubara, Ioannis K. Zervantonakis, Kiyoe Funamoto, Masafumi Nakayama, Jun Masamune, Yoshitaka Kimura, Roger D. Kamm, Endothelial monolayer permeability under controlled oxygen tension, Integrative Biology, DOI: 10.1039/c7ib00068e.(2017年5月10日 Online掲載)

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