東北大学
学際科学フロンティア研究所

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量子制御可能な巨視的振り子を開発

2020年6月5日『Physical Review Letters』誌に論文掲載、およびプレスリリース

2020.06.05

原子をはじめとする極微の世界の量子と呼ばれるものは、量子揺らぎと呼ばれる不可避の揺らぎを伴います。近年、薄膜やカンチレバーといった巨視的な物体でさえ、それらの量子揺らぎを観測・制御することが可能となってきました。

今回、東北大学 学際科学フロンティア研究所/電気通信研究所の松本伸之 助教(兼JSTさきがけ研究者)とカタニョセスベンジャミンロペス博士課程大学院生、枝松圭一教授らは、石英の超細長線(直径10-6メートル、長さ5センチメートル)をミリグラム程度の鏡にレーザー溶接することで、エネルギー散逸が世界で最も小さな振動子(振り子)を開発することに成功しました。エネルギー散逸は振動子と外部環境がどの程度分離されているかを示す指標です。低散逸化により、従来の量子制御実験の対象より5桁も重い、ミリグラム程度の超巨視的振動子の量子制御が実現可能になりました。重い物体の量子制御を実現すれば、量子状態にある物体から生じる重力を観測することで、重力の量子的な性質の検証につながると期待されます。
 
本研究は、東北大学 学際科学フロンティア研究所が主体となり、科学技術振興機構(JST)戦略的創造研究推進事業 さきがけ「大質量機械振動子を用いた巨視的量子力学分野の開拓(研究者:松本伸之)」の支援を受けて実施されました。本研究成果は、2020年6月5日(日本時間)に物理学分野のトップジャーナルである『Physical Review Letters』に論文掲載され、同日に科学技術振興機構と本学よりプレスリリースされました。
 
従来の量子実験と重力実験の対象と我々の実験対象の比較。これまで、重力の観測と量子の実験はかけ離れたスケールで行われてきました。これらの中間的なスケールで実験を行うことで、自然の新たな一面を知ることができるかもしれません。重力観測と量子制御の高度化に取り組むことで、究極的には量子制御された物体が作る重力を観測できると期待しています。量子制御された巨視的物体をプローブとすることで、ダークマターや重力デコヒーレンスなどの未解決問題を高精度に検証することもできます。

論文情報:
Seth B. Cataño-Lopez, Jordy G. Santiago-Condori, Keiichi Edamatsu, and Nobuyuki Matsumoto, "High-Q milligram-Scale Monolithic Pendulum for Quantum-Limited Gravity Measurements", Physical Review Letters, 2020
DOI: 10.1103/PhysRevLett.124.221102
https://journals.aps.org/prl/abstract/10.1103/PhysRevLett.124.221102
 
 
 
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