東北大学
学際科学フロンティア研究所

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電場で誘起される旋光性を用いて結晶に内在する「時計回り、反時計回り」構造の空間分布を可視化

2020年9月11日『Nature Communications』誌に掲載およびプレスリリース

2020.09.14

先端学際基幹研究部の津田健治教授は、東京大学大学院新領域創成科学研究科、同大学院工学系研究科、東北大学多元物質科学研究所、株式会社村田製作所との共同研究において、結晶に内在する「時計回り、反時計回り」構造の共存状態(強軸性ドメイン)を可視化することに成功しました。
 
結晶構造に内在する原子配置の回転歪みで特徴づけられる秩序を持つ物質は「強軸性」物質と呼ばれ、左右2つの回転状態を識別・制御することで強磁性体や強誘電体などのようにメモリや光学素子といった応用への可能性が期待できます。しかしながら、強軸性物質においては、強磁性体や強誘電体などに共通して現れるドメインの観測はこれまで報告がありませんでした。
本研究では、電場変調イメージング技術を応用した光学的手法および走査型透過電子顕微鏡(STEM)と収束電子回折(CBED)を組み合わせた手法によって、強軸性ドメインを可視化することに初めて成功しました。強軸性ドメイン観測を可能とする測定手法が確立されたことにより、新たな物性としての強軸性に関する研究が加速し、さらには強軸性物質を用いた新規な光学素子などの開発につながることが期待されます。
 
図1.電場が印加されたNiTiO3における電場誘起の旋光角の変化(電気旋光効果)を表す概念図。時計回りおよび反時計回り構造を持つそれぞれの強軸性ドメインでは、電場誘起の旋光角の符号が反転する

本研究成果は、9月11日に『Nature Communications』誌に掲載され、同日の情報解禁にて東京大学および本学よりプレスリリースされました。
 
論文情報:
T. Hayashida, Y. Uemura, K. Kimura, S. Matsuoka, D. Morikawa, S. Hirose,
K. Tsuda, T. Hasegawa, and T. Kimura, "Visualization of ferroaxial domains in an order-disorder type ferroaxial crystal", Nature Communications 11, Article number: 4582 (2020)
DOI: 10.1038/s41467-020-18408-6
https://www.nature.com/articles/s41467-020-18408-6
 
プレスリリース:
東京大学大学院新領域創成科学研究科
http://www.k.u-tokyo.ac.jp/info/entry/22_entry902
東北大学
https://www.tohoku.ac.jp/japanese/2020/09/press20200909-03-denba.html
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