東北大学
学際科学フロンティア研究所

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木村成生 研究員(當真グループ・学振PD)、當真賢二 准教授『The Astrophysical Journal』に論文掲載

2020年12月28日『The Astrophysical Journal』に論文掲載

2021.04.05

「ブラックホール周辺でのガンマ線、ニュートリノ生成の新しいメカニズムを提案」
 
宇宙はほぼ光速で飛び交う高エネルギーの荷電粒子(宇宙線)で満たされていますが、その発生源はまだ分かっていません。宇宙線は周囲の物質や電磁場と相互作用してガンマ線やニュートリノなどの高エネルギー粒子を放出するため、それらの粒子を観測することで宇宙線の起源天体に迫ることができます。ブラックホールからジェットが噴出している天体からは頻繁にガンマ線が検出されており、ジェットが宇宙線の有力な発生源と考えられています。イベント・ホライズン・テレスコープによるブラックホールの影の観測で話題になったM87銀河もジェットが付随しており、M87銀河からはガンマ線も検出されています。
今回、学際科学フロンティア研究所の木村成生 研究員(當真グループ・学振PD)と當真賢二 准教授(先端学際基幹研究部)は、ブラックホールに落ち込むプラズマ(降着流)での宇宙線生成過程を定式化し、そこで効率的に宇宙線が生成がされていればM87銀河のガンマ線観測データを説明できることを示しました。これは、ジェットだけではなく降着流でも宇宙線が生成されてガンマ線を放射できることを初めて示した画期的な成果です。本研究をもとに、ガンマ線やニュートリノを用いた将来のマルチメッセンジャー天体観測により宇宙線起源天体の解明が期待されます。
 
本研究成果をまとめた論文が2020年12月28日に「The Astrophysical Journal」に掲載されました。
 
論文情報
タイトル:Hadronic High-energy Emission from Magnetically Arrested Disks in Radio Galaxies
著者名:Shigeo S. Kimura, Kenji Toma
掲載誌:The Astrophysical Journal
https://doi.org/10.3847/1538-4357/abc343
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