東北大学
学際科学フロンティア研究所

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最期を迎えた超巨大ブラックホールの発見 3000光年寄り道した光が捉える超巨大ブラックホールの最期の輝き

2021月6月7日(アメリカ東部夏時間)アメリカ天文学会主催の記者会見、および6月8日プレスリリース

2021.06.08

銀河の中心にある超巨大ブラックホールは、時に周りから落ちるガスを飲み込んで成長し、その際にガスの重力エネルギーが開放されて光で明るく輝きます。この状態を活動銀河核といいますが、この活動銀河核がいつ終焉を迎えるかは長らくわかっておらず、その終焉の瞬間は長らく観測されてきませんでした。
 
東北大学学際科学フロンティア研究所の市川幸平助教らは、Arp 187という天体に着目し、活動銀河核が作るおよそ3000光年にもおよぶ電離領域を「鏡」として利用することで、3000年ほど遅れて地球に届いた過去の活動銀河核の光度を見積もりました。さらにNASAのNuSTAR衛星によるX線観測から得られた現在の光度との比較を行いました。その結果、活動銀河核の光度が、この3000年程度で1000分の1以下に暗くなったことが明らかになり、活動銀河核が死につつある瞬間を捉えることに成功しました。
 
本研究成果は、2021月6月のアメリカ天文学会年会で発表され、6月7日(アメリカ東部夏時間)にはアメリカ天文学会主催の記者会見が開かれました。
 
VLA望遠鏡とアルマ望遠鏡の観測から得られたArp 187の電波画像 (VLA 4.86 GHzに青、VLA 8.44 GHzに緑、アルマ望遠鏡 133 GHzに赤を割り当てた擬似カラー画像)。2つの電波構造が見えるが、中心核 (画像中央部) は暗いことがわかる。(クレジット:ALMA (ESO/NAOJ/NRAO), Ichikawa et al.)
 
発表情報:
Kohei Ichikawa, Junko Ueda, Taiki Kawamuro
"Serendipitous Discovery of a Dying Active Galactic Nucleus in Arp 187"
238th Meeting of the American Astronomical Society
https://aas.org/meetings/aas238

プレスリリース:
東北大学
http://www.tohoku.ac.jp/japanese/2021/06/press20210608-01-arp187.html
国立天文台アルマプロジェクト
https://alma-telescope.jp/news/dyingbh-202106
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