東北大学
学際科学フロンティア研究所

公募研究

領域創成研究プログラム 研究概要(2015年度採択)

環境科学研究科

簡 梅芳 助教

採択課題名 植物根圏環境の解明による新しいファイトエクストラクション技術の構築と展開
実施年度 2015-2016

ヒ素超蓄積植物であるモエジマシダを利用した生物学的浄化技術(ファイトエクストラクション)は低コスト、低環境負荷の浄化方法として期待されているが、その実用化には、まだ科学的知見が不足である。本研究の予備研究により、①モエジマシダはヒ酸の形態で土壌からヒ素を吸収すること、②土壌中のヒ素酸化には微生物が大きく寄与していることが明らかとなった。また、③圃場における実地栽培実験では、モエジマシダのヒ素蓄積量は圃場によってかなり差があり、この違いには、シダ根圏中のヒ素酸化微生物が深く関わっていると推定された。植物根の表面わずか数十ミクロンの「根圏」という空間には、多種多様な微生物群のすみかとなっており、植物・根圏微生物の共生は窒素固定や耐病性の付与に寄与していることが解明されつつある。しかし、根圏の構造と機能については、これまでは農地生態学分野における研究のみであり、しかもごく部分的にしか検討されていない。本研究では、モエジマシダの根圏に着目し、シダのヒ素吸収における根圏微生物の役割を明らかにするとともに、植物・微生物の相互作用を最適化した新規ヒ素浄化技術を確立する。本研究は、シダ根圏における微生物生態学的知見を得るだけでなく、環境科学・工学的視点を切り口とする「根圏環境」の新しい研究領域を創出することを目指して行う。

図1シダのヒ素吸収に寄与する根圏因子

PAGE TOP