東北大学
学際科学フロンティア研究所

公募研究

学際研究支援プログラム 研究概要(2014年度採択)

工学研究科

鈴木 誠 教授

採択課題名 やわらかさと溶媒効果が生み出す高次分子機能とエネルギー変換
実施年度 2014-2016

タンパク質やヌクレオチド等の生体分子は高い構造自由度をもち、大きな構造変化が生命機能を支えています。最近の研究によって、タンパク質など生体分子は溶媒(水)との大きなエネルギーのやり取りを伴って構造変化をすることがわかってきました。つまり生体分子と水は、集団として協同的に動き様々なはたらきをしているのです。

生体分子のダイナミクスの理解には水溶媒系と生体分子の運動をエネルギー論と統合して解析することが必要になります。本研究では、高分解能誘電緩和分光(DRS)、NMRおよび時間分解ラマン分光等の手法を用いて、ATP加水分解反応にともなうモータータンパク質の水和状態変化を解析し、バルク水のほかにタンパク質表面に拘束された水和層とハイパーモバイル水(誘電応答がバルク水より速い水)の層があること、そしてそれらがタンパク質の構造変化にともなって大きく変化することを見出しました。

実験と並行して、分子動力学・統計力学・量子力学の理論系研究者と緊密に連携して生体分子系を対象とした先導的エネルギー論の構築をめざしています。この研究から金属イオン周りには1ナノメートルにおよぶハイパーモバイル水層が存在し、イオンと水の相互作用と水分子間の相互作用が相互に拮抗する状態になっていることがわかってきました。将来的には、タンパク質でできた部品の構造を制御し、図のように線維状タンパク質の上を別のタンパク質粒子を駆動する分子リニア―モーター実現につなげたいと考えています。

アクチンフィラメント周りの水和状態を制御することで駆動力を生み出すモデル

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