東北大学
学際科学フロンティア研究所

公募研究

学際研究支援プログラム 研究概要(2018年度採択)

法学研究科

尾野 嘉邦 教授

採択課題名
非言語的コミュニケーションと政治判断に関する学際的研究
実施年度 2018-2020

従来の政治学において、有権者の投票行動を理解するためには、政治家の掲げる公約や政策の内容が重要であるとされてきた。しかし、トランプ大統領の当選に見られる近年の選挙結果からは、有権者の感情や偏見、政治家の容姿といった、政治とは直接的関連性の薄い要素が、むしろ投票行動を大きく左右している可能性が明らかになった。候補者側も、選挙ポスターやチラシのみならず、TwitterやFacebookといったSNSを通じて、有権者に様々な写真や情報を提示し、自らに有利になるような印象操作を積極的に試みている。

本研究では、顔の表情など、政治家から発せられる非言語的メッセージが、有権者の政治的判断にどう影響しているのか、そしてイデオロギーや性別といった政治家や有権者のタイプによって、その影響にどのような違いが存在しているのかについて理解するため、心理学のみならず、認知神経科学、知能情報学といった、異分野の研究手法や知見を導入して、検証する。具体的には、実際の候補者の写真などをもとに、政治家の顔の形や表情を、ディープラーニングの手法の1つであるGenerative Adversarial Network (GAN)や顔形態分析によってPC上で再構築するとともに人工的に操作するなど、実験的手法を用いることで、有権者の政治的判断や投票行動が、どのような状況でどの程度、政治家のビジュアル・イメージという、政策以外の(非合理的な)要素によって左右されているのかを明らかにする。

国会議員選挙への立候補者の顔形態について分析した結果

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