東北大学
学際科学フロンティア研究所

公募研究

国際共同研究支援 報告

柴﨑 裕樹(新領域創成研究部 助教)

アメリカ・シカゴ、放射光施設APS

期間/2016.11.13-12.11

この度、学際科学フロンティア研究所の若手研究者国際共同支援プログラムのご支援を頂き、2017年2月18日~3月31日の日程で、アメリカ合衆国シカゴにある国立研究所Argonne National Laboratory内の放射光施設Advanced Photon Source (APS)にて、「高温高圧下での金属ガラスの局所構造測定」を行ってきた。実験はGeophysical Laboratory, Carnegie Institution of WashingtonのAPS支部であるHPCATが所有するSector 16 BM-Bのビームラインで行い、ビームライン・サイエンティストである河野博士と共に、高温高圧下で金属ガラスの局所構造を測定した。金属ガラスは文字通り、長周期の規則構造を持たない非晶質物質であるが、完全にランダムに原子が存在しているのではなく、短周期的にはある程度規則的な原子配列をしており、それを局所構造と呼ぶ。この局所構造が物質によって異なり、それが物質の性質を支配する要因となっている。本研究では、高圧力を使ってこの局所構造を変化させ、新たな特性を有した金属ガラスを開発することを目的としている。

実験は概ね予定通り行うことができた。これによると、低圧では温度上昇に伴い結晶化が確認されたが、高圧下では結晶化直前で局所構造の変化が確認された。この構造変化はより秩序化した構造になっており、温度を上げることで原子が動きやすくなり、高圧下での特有な構造に変化したと思われる。今後は、国際誌への投稿に向けて、より詳細の解析を行っていく予定である。

最後になりますが、この様な実験を行う素晴らしい機会を与えて下さいました、若手研究者国際共同支援プログラムに心より感謝申し上げます。

  • 左:放射光施設APSの建物と

  • 右:放射光施設APS内のHPCATのOfficeにて(筆者)

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