東北大学
学際科学フロンティア研究所

公募研究

海外研究集会等発表支援 報告

鹿野 理子(新領域創成研究部 助教)

The 22nd Annual Meeting of the Organization for Human Brain Mapping
開催地/スイス・ジュネーブ

期間/2016.6.22-7.4

学際科学フロンティア研究所の海外研究集会発表ご支援頂き、2016年6月22日~7月4日にスイス、ジュネーブで開催されたOHBM-The 22nd Annual Meeting of the Organization for Human Brain Mappingに参加し、"Graph Theoretical Analysis of Resting State Functional connectivity in Irritable bowel"というタイトルで、ポスター発表を行い、また、共同研究者を進めているベルギー、ルーベン大学の、Laboratory for Cognitive Neurology, およびTranslational Research Center forGastrointestinal Disordersを訪問してきました。

今回の発表は、過敏性腸症候群という、ストレスにより便通異常とともに腹痛をきたす、慢性の機能性障害の疾患群を対象としたもので、安静時の脳活動の機能結合パターンの特徴を、グラフ解析を用いて検討したものを発表いたしました。グラフ解析は、グラフ理論を元に、機能的に同じ働きをする脳の領域間の相互依存的なネットワークの特徴を抽出するものです。PET(ポジトロンエミッショントモグラフィー)やfMRI(機能性磁気共鳴装置)を用いた機能的脳画像研究が始まった当初は、局所的な脳部位の活動の増減が報告されることが多く、それでも目に見えない脳の働きを視覚化できることは非常に強いインパクトがありましたが、近年では脳全体のネットワークがどれぐらい効率的に有意義に形成されているかを、包括的に数学的理論をあてはめて計算するのがトレンドになっています。OHBMも毎年トレンドがありますが、本年はタイミングよく、グラフ理論の脳画像解析への応用をテーマにしたeducational courseもあり、また、グラフ理論を用いた発表が非常に多く、グラフ理論関係の脳画像データのモデリングを専門とする方や、また臨床系、心理系の方から多くの質問を受けました。他の発表にも参加し現時点では、グラフ理論をあてはめるのに、パラメーターの最適化が必要であるという印象を持ちました。現在、グラフ理論の指導を受けているルーベン大学の共同研究者も一緒に参加しましたので、今後さらに解析を進めていきたいと思います。ある疾患、あるいは現象をとらえるのに、様々なエキスパートとのコラボレーションが必要であり、学際研究の重要性を再認識いたしました。

このような機会を与えて頂いた若手研究者海外研究集会等発表支援プログラムに感謝致します。

  • 左:宗教改革記念碑

  • 右:ジュネーブの街

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