東北大学
学際科学フロンティア研究所

公募研究

海外研究集会等発表支援 報告

津村 耕司(新領域創成研究部 助教)

POLAR2018
開催地/ スイス・ダボズ

期間/2018.6.16-6.25

私は、学際科学フロンティア研究所の若手研究者海外研究集会等発表支援プログラムに採択され、2018年6月16日から6月25日にかけて、スイス・ダヴォスにて開催された南極に関する国際会議Polar2018に参加してきました。これは、北極・南極に関するあらゆるテーマを取り上げる非常に学際的な国際会議でした。

南極は地球上で最も天文観測に適した場所です。我々の研究グループは南極での天文観測の開拓を目指し、今までも装置開発を進めてきました。今回の国際会議では、我々が開発中の南極で使用可能な天文観測装置と、それを用いた南極からの天文観測計画について発表しました。天文学に関するセッションは6/19に予定されており、私はポスター発表として枠が与えられていたのですが、国際会議における正式な発表に加えて、天文学セッションとして独自にプレミーティングが6/17に開催されるとのことだったので、そこから参加してきました。プレミーティングでは、メインセッションではポスター発表である私のような発表者も、5分程度口頭で研究内容を紹介する時間が与えられたこと、アメリカの科学技術予算を取り仕切るアメリカ国立科学財団(National Science Foundation, NSF)の関係者も参加し多くの発言をしていたことなど、メインセッションより重要で濃い議論が展開されたと感じました。また、欧米に加え、中国が国策として南極の利用に力を入れていることが明らかにわかるなど、南極という場所における世界情勢が垣間見える国際会議でもありました。6/19のメインセッションの日は、奇しくもサッカー日本代表がコロンビア代表に劇的な勝利を挙げた日でもありました。この日のポスターセッションの時間では、さすが南極に関するあらゆるテーマが集った学際的な研究会だけあり、過去の南極探検家の伝記を記したという作家の方や、南極遠征隊の心理状態を研究している心理学者など、普段では接点がない領域の研究者達にも自らの研究の話を聞いていただく機会もありました。
6/20以降は、南極からの天文観測における国際共同研究を模索するため、フランスのニース大学に訪問しました。ニース大学の天文観測チームは、南極のドームCにて既に天文観測を進めており、そこに我々のカメラを持ち込んでの国際共同研究の実現可能性について相談するためです。ニース大の窓口となっていただいたのはAbe Ryu氏です。ニース大の議論では、我々のグループとニース大のグループの国際共同研究により、我々が開発している装置を南極ドームCに持ち込んでの観測を実現できる可能性を感じることができました。今後は引き続き継続して議論を進めて行くことで合意しました。
 
このような貴重な機会を与えていただいた本支援プログラムに感謝致します。

写真左:会場のダヴォスコングレスセンター。ダボス会議の会場としても有名
写真右:ニース大での打ち合わせ(左からAbe Ryu氏、津村、市川名誉教授(東北大))

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