東北大学
学際科学フロンティア研究所

公募研究

海外研究集会等発表支援 報告

大学保一(新領域創成研究部 助教)

Cold Spring Harbor Laboratory, Eukaryotic DNA Replication & Genome Maintenance
開催地/ニューヨーク、アメリカ

期間/2019.9.2-9.7

この度、学際科学フロンティア研究所の若手研究者海外研究集会等発表支援プログラムに採択して頂きましたこと、感謝いたします。御プログラムの支援のお陰でアメリカ合衆国のコールドスプリングハーバー研究所が主催する "Eukaryotic DNA Replication & Genome Maintenance"をテーマとした会議に参加することができました。会議では自身の最近の研究成果を口頭発表し、関連分野の研究者と熱い議論を交わし収穫の多い情報交換を行うことができました。コールドスプリングハーバー研究所は、まさしく、世界の生物学・医学研究の分野をリードする研究機関であり、現在まで30年以上の間、隔年のペースで、今回参加したDNA複製の領域を中心とした会議を開催しています。この会議は、世界のDNA複製の潮流を肌で感じるよい機会であると同時に、この場で自分の研究をアピールすることは、たとえベテランの研究者であっても緊張するであろう大舞台です。私も今回が3回目の参加になりますが、学際科学フロンティア研究所に赴任以来初めてであり、独立した研究者として挙げた成果を世界にアピールするぞ、と思って臨みました。その思いが通じたのか、限られた数の口頭発表に選ばれることができました。

この会議の参加者の多くは細胞内のDNA複製メカニズムの解明を目指す研究者であり、発表は、最近発見されたDNA複製因子の解析、複製メカニズムの試験管内での再構築、また、DNA複製機能を司る複合体(replisome)の立体構造解析などの進捗報告が中心でした。特に、最近では、出芽酵母、分裂酵母などのDNA複製のモデル生物だけでなく、ヒトを含めた大きなゲノムを持つ生物におけるDNA複製メカニズムを対象とした研究が目覚ましく進展してきました。私自身は全ゲノム領域にわたりDNAポリメラーゼ(DNA合成酵素)の機能を検証する実験系の構築および解析に関しての発表を行い、多くの研究者と議論する機会を得ることができました。

正直なところ、プロジェクト・スタッフが2人の私が研究員を10人以上抱えるPIと並んで口頭発表する中で、研究のパワーという点ではなかなか競争するのは難しいと感じましたが、一方、時間をかけても独自の視点を持った研究を推進することが自分のスタイルであると改めて見直すことができました。このような機会を与えて頂いたことを、若手研究者海外研究集会等発表支援プログラムに深く感謝いたします。
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