東北大学
学際科学フロンティア研究所

公募研究

海外研究集会等発表支援 報告

中嶋悠一朗(新領域創成研究部 助教)

At the roots of bilaterian complexity: insights from early emerging metzoans
開催地/トゥッツィング、ドイツ

期間/2019.9.15-9.21

今回2019年度「若手研究者海外研究集会等発表支援プログラム」によって支援していただき、2019年9月16日~9月19日にドイツのTutzing(トゥッツィング)で開催されたInternational Workshop "At the roots of bilaterian complexity: insights from early emerging metazoans" に出席し、発表を行いました。本研究集会には、原始後生動物をはじめとした初期に出現したと考えられる動物を使用しているサイエンティストが世界中から集結しました。通称Hydra-meetingと呼ばれており、30年以上の歴史を持ちます。当時はHydra(ヒドラ)という刺胞動物をモデルに研究する人々が集まったことを起源としますが、現在では様々な刺胞動物やカイメン、単細胞動物など、いわゆる非モデル動物を使用するサイエンティストが参加する会議となっております。会場はEvangelische Akademieと呼ばれる歴史のある建物(写真参照; 会場の説明書きにcastle と書いてありますが、城?)で開催され、参加人数が120名と少人数で4日間を共にすることから、濃密な議論が展開されます。キャパの制限が厳しいこともあり、一部の若手(学生)が参加できないほど、近年注目を集めている分野です。

私は、Cladonema pacificum(和名:エダアシクラゲ)と呼ばれる小型のクラゲを用いた研究を学際研に着任後の2017年度から展開しています。エダアシクラゲは温度変化に応答して生活環が制御される特性や高い再生能、さらにはメデューサからポリプへの若返り現象、といった興味深い特徴を持ちます。しかしながら研究人口が少ないこともあり、研究手法が限定されていることやゲノム解読がまだ行われていない、など様々な制約があります。私は最近までの成果をまとめてポスター発表を行いました。また本会議では、多くの未発表の研究成果を聞くことができ、分野の動向を確認し、今後の指針を決める上でも大変有益でした。研究人口の多いヒドラやNematostella(イソギンチャクの1種)、さらには環境保護の観点からも重要なサンゴ、そして他種のクラゲまで最新のトピックが網羅されていました。これまで論文で目にしただけのサイエンティストたちとも知り合うことができ、食事や休憩時間には議論を満喫しました。また、現在はNematostellaを使ってインパクトのある研究を展開しているポスドク時代のボス(Matt Gibson博士, Stowers Institute for Medical Research, USA)や元同僚(Aissam Ikmi博士, EMBL, Germany)とも再会でき、充実した時間を過ごすことができました。

最後に、本会議への参加をサポートいただいた「若手研究者海外研究集会等発表支援プログラム」に心から感謝いたします。ありがとうございました。
 
写真は会場となったEvangelische Akademieの会議場前
 
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