東北大学
学際科学フロンティア研究所

新領域創成研究部

在職期間:2013.1-2017.9

中村 文子Ayako Nakamura

助教人間・社会

メンター教員(当時)
教授
平田 武(大学院法学研究科)
研究分野 国際関係論
主な研究テーマ
  • 人間の安全保障と地域ネットワーク形成―欧州と東南アジアにおける人身売買対策を事例として
所属学会 日本国際政治学会、日本政治学会、日本国際法学、日本比較政治学会、他
研究概要  

年間80万人以上の人々が、世界中で性的搾取や臓器売買、強制労働のために売買されており、この人身売買の深刻な状態は今日も続いています。その多くは女性や子どもを対象とする性的搾取を目的としたもので、とくに欧州と東南アジアはそのホットスポットとなっています。この問題に対して、本研究は欧州と東南アジアにおける人身売買の現状と対策をめぐる比較研究を行い、地域機構である欧州連合(EU)と東南アジア諸国連合(ASEAN)、さらに国連機関の役割や、反人身売買対策での国際機構、国家および市民社会の関係を明らかにするものです。

自身のこれまでの研究では、経済格差や女性・貧者・外国人に対する差別意識に着目し、人身売買の構造的要因や反人身売買の規範形成の分析を行ってきました。さらに昨今では国際政治学の地域主義の考え方に基づき、人権をめぐる「地域」という新たな領域を分析課題としながら、EUやASEANの反人身売買対策に着目しています。例えばEUが1997年に導入したプログラムでは、人身売買に対して非政府組織間の連携を促し、市民社会に資金を提供して加盟国の対応能力を強化しながら、地域の人権保護ネットワークを形成しており、有力な対策として挙げることができます。一方、ASEANでは国家主権への不介入といった行動規範や市民社会の脆弱性により、地域機構の役割は大いに制限されています。これに対して、国連機関はメコン川地域に市民社会や国家を取り込んだ新たなネットワークを形成し、反人身売買対策を強化しています。

本研究は、現地調査によるデータに基づいて、欧州と東南アジアにおける反人身売買のネットワーク形成の分析を行い、国家と市民社会、及び各地域における地域間協力と人権問題をめぐる地域主義を促す原因を明らかにします。さらに政治学や国際関係論、比較政治学、社会学、経済学、ジェンダー学等の研究成果を取り込みながら、人身売買の包括的な解決策について考えます。

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