東北大学
学際科学フロンティア研究所

新領域創成研究部

市之瀬 敏晴Toshiharu Ichinose

助教生命・環境

メンター教員
教授
牧野 能士(大学院生命科学研究科)
研究分野 神経行動学、行動遺伝学
主な研究テーマ
  • 記憶の形成と長期化を司る分子・神経回路メカニズムの解明
  • 依存性薬物への嗜好性の制御メカニズムの解明
所属学会 日本神経科学会
研究概要  

私たちのアイデンティティは過去の経験、つまり記憶によって形成されます。長期にわたる記憶情報の保存には、記憶の固定化と呼ばれるプロセスを経ることが必要であることが、これまでの研究によってわかっています。50年以上前の研究によって、記憶の固定化には、学習後に新しくタンパク質が合成されることが必須であることが示されています。ところが現在においても、2万種類以上存在するタンパク質のうち、どれが合成されて記憶を固定化するのかについては、その多くが未解明のままです。この問題の解決が遅れている理由として、脳は非常にヘテロな細胞集団であり、記憶情報が書き込まれるごく一部の細胞で合成されるタンパク質を捉えるのが難しいという点が挙げられます。

私はショウジョウバエをモデル系として使うことで、砂糖報酬や電気ショック罰と匂い情報の連合記憶が書き込まれる神経回路を細胞レベルでこれまで探索してきました。最新の分子生物学的手法によって、特定の細胞で合成されるタンパク質を検出し、標識し、その機能を特異的に操作することが可能になりつつあります。記憶が書き込まれたシナプスでどのような変化が起きているのか、分子のレベルで解明したいと考えています。

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