東北大学
学際科学フロンティア研究所

過去の在籍教員

在職期間:2015.4-2022.3

大学 保一Yasukazu Daigaku

助教生命・環境

メンター教員(当時)
教授
東谷 篤志(大学院生命科学研究科)
研究分野 分子遺伝学、ゲノム情報科学
主な研究テーマ
  • 多様なDNAポリメラーゼ間での協調的な機能の解明、DNA複製に起因する突然変異生成機構の解明、DNA複製因子を標的としたがん治療戦略の創出
所属学会 日本遺伝学会
研究概要  

生物は組織や個体を形成、維持するため、それを構成する細胞は分裂を繰り返し、生体分子の設計図(ゲノム)であるDNAは限られた時間内に正確に複製される必要があります。効率的なDNA複製の実施のために、真核生物では10種類以上のDNA合成酵素:DNAポリメラーゼが分業を行われます。しかし、各々のDNAポリメラーゼによる合成の正確性は異なり、誤りがちなポリメラーゼの介入は不正確なコピー、すなわち、突然変異の原因であり、我々の生体の恒常性に影響する問題です。その最たる問題が、突然変異が蓄積による、増殖の制御を失った細胞:がん細胞の出現です。

私は、多様な特徴をもつDNAポリメラーゼが協調して機能するメカニズムを検証し、我々の遺伝情報が効率的、かつ、正確に子孫に伝えられる仕組みの解明を目指しています。ゲノムDNAは巨大な分子であり様々な構造をとり、その複製は平坦な道のりではありません。様々な障害を乗り越えるべく、多くのDNAポリメラーゼがフレキシブルに協調しあうと考えられ、その点に焦点をあて研究を実施しています。そのために、DNA複製に必要な個々の生体分子の解析はもとより、情報科学的な方法を駆使し、全ゲノム領域を対象として包括的なDNA複製プロファイルを得る実験技術を適用し研究を進めます。がん化した細胞などの特殊な状況下では、使われるDNAポリメラーゼまたは関連因子が異なる可能性が示唆されているので、がん細胞におけるDNAポリメラーゼの動態をゲノムレベルで解析し、DNA複製の機序を標的とした新たながん治療の可能性を探り、生命科学はもとより、情報科学・医学を含めた学際的な研究を発展させます。

 

参考文献

Daigaku et al. Nature 465 951-55 2010

Daigaku et al Nat. Struct. Mol. Biol. 22 192–198 2015

関連記事一覧

PAGE TOP