東北大学
学際科学フロンティア研究所

過去の在籍教員

在職期間:2014.4-2016.2

古本 祥三Shozo Furumoto

准教授

研究分野 分子イメージング、放射線医薬品学、核医学
主な研究テーマ
  • がん・脳疾患・心疾患を対象とした画像診断用PETプローブの開発
所属学会 日本核医学会、日本薬学会、日本癌学会、日本薬理学会、日本分子イメージング学会、Society of Nuclear Medicine and Molecular Imaging、Society of Radiopharmaceutical Sciences、American Chemical Society
研究概要  

私は、陽電子放射断層撮影(positron emission tomography: PET)による分子イメージング研究、特にトレーサーとして利用するポジトロン標識プローブの開発とその活用法に関する研究に取り組んでいます。PETによる研究は、(1)独創的で実用性の高いPETプローブの創製(放射性医薬品学)、(2)高感度な画像化法及び高精度な解析手法の構築(画像工学)、(3)画像化と生命現象・疾患病態との生物学的・医学的関連性の検証(核医学)について、各分野の専門家が協調して融合的に取り組む必要があります。すなわちPET研究は、薬学・工学・医学の領域が密接に連携する必要があり、まさしく学際的研究であるといえます(図)。私自身は、(1)のPETプローブ開発を専門としています。具体的には、PET分子イメージングによりアルツハイマー病(AD)の脳内で起きている神経病理変化を非侵襲的に可視化するためのプローブ開発にとり組んでいます。これまでに重要な神経病理変化であるタウタンパク質の異常蓄積をPETで可視化するためのプローブ18F-THK-5117を開発し、その有用性を臨床研究で評価しています。また、がんの早期診断や治療評価に役立つPET用イメージング薬剤の開発研究にも精力的に取り組んでいます。最近、がんの糖代謝に着眼した18F-FDM (フロロデオキシマンノース)の実用的製造法を確立し、その薬剤を使って小動物PETでラットのがんを感度よくイメージングすることに成功しています。さらに新しいテーマとして、ミトコンドリア膜電位感受性プローブの開発研究にも着手し、すでに簡便で汎用性の高いフッ素18標識プローブの合成法を開発して数多くの誘導体合成を展開しています。将来的には、心筋血流イメージングやアポトーシスイメージング、褐色脂肪細胞イメージングなどへの応用を計画しています。このように、ポジトロン標識プローブの開発を通じて、生命現象を個体レベルで統合的に理解するための基礎研究はもちろんのこと、重要疾患の診断・治療評価技術の高度化につながる応用研究や社会的要請の強い新薬開発の加速化に資する研究を目指しています。

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