東北大学
学際科学フロンティア研究所

過去の在籍教員

在職期間:2016.4-2021.5

中嶋 悠一朗Yuichiro Nakajima

助教生命・環境

メンター教員(当時)
教授
倉永 英里奈(大学院生命科学研究科)
研究分野 上皮細胞生物学、発生遺伝学、発生生物学、分子生物学
主な研究テーマ
  • 細胞分裂軸の制御と操作による上皮恒常性とEMTの普遍原理の解明
  • 組織恒常性や再生、病態における細胞可塑性の仕組み
  • 生体内における上皮腫瘍の形成や悪性化、がん転移の基本原理の理解
所属学会 日本発生生物学会、日本分子生物学会、Genetic Society of America
研究概要  

私は、我々ヒトを含む動物の体がどのようにしてつくられ、健康が維持され、そして病気になるのか、ということを、上皮組織の構造や細胞の形態に注目して研究しています。上皮組織は多細胞生物のからだの表面や器官を覆っており、外界とのバリアー、分泌や吸収の制御、そして形づくり、といった多彩な生理機能をもちます。一方で、ヒトのがんの約9割は上皮由来であるように、上皮組織の疾病は数多く存在します。

これまで私は一貫して、上皮の組織恒常性や構造を維持する仕組みについて研究してきました。「細胞死(アポトーシス)」や「細胞分裂」という、生命を形づくり、維持していく上で非常に重要であり、かつ、ダイナミックな細胞の振る舞いが、組織という細胞社会の中でどのように協調し、制御されているのか、という問題に取り組んできました。留学中には、上皮組織における「細胞の分裂方向」に着目した研究から、分裂方向の異常が上皮から間充織様への細胞の運命変換(上皮間充織転換、EMT)や腫瘍化につながる発見をしました(図)。現在は、そうした「細胞の可塑性」に特に興味をもって研究しています。可塑性とは、健康な細胞が病的な細胞に変身したり、一過性に運命が変わったり、といったイメージです。

研究を行う上では、生命現象の背後にある細胞の振る舞いを理解し、その分子メカニズムを明らかにすることをスタイルにしています。ショウジョウバエというモデル動物を使い、組織や個体の中で起こっている現象を観察し、遺伝学的な手法でその仕組みに迫ります。学際科学フロンティア研究所では、これまでの生物学的手法に加えて、数理や工学といった異分野の手法を組み合わせたアプローチを取り入れることで、広い視点から生命現象の解明に取り組みたいと思っています。

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