東北大学
学際科学フロンティア研究所

過去の在籍教員

在職期間:2016.4-2018.9

野田 博文Hirofumi Noda

助教先端基礎科学

メンター教員(当時)
准教授
秋山 正幸(大学院理学研究科)
研究分野 X線天文学
主な研究テーマ
  • 超巨大ブラックホール近傍からの放射と高速噴出流の研究
  • 人工衛星搭載検出器の熱設計
所属学会 日本天文学会、日本物理学会
研究概要  

宇宙にある銀河の中心には、太陽の1億倍もの質量を持つ「超巨大ブラックホール(BH)」が1個ずつ存在します。一家に一匹ずつ巨大なモンスターが潜んでいるわけです。その周辺に大量の物質があると、BHに吸い込まれながら様々な波長の光を放射するとともに、物質の一部が外側に向けて高速で吹き飛ばされ、噴出流が生成されます。これらは、物質の持つ重力エネルギーが、放射エネルギーや噴出流の運動エネルギーに効率よく変換されて生じると考えられますが、その変換メカニズムは未だに解明されていません。BH周辺からの放射や噴出流は、BH近傍の時空構造や、強重力下の極限状態にある物質の状態を反映すると同時に、宇宙や銀河の進化にも大きな影響を及ぼすと期待されるので、宇宙物理の中でも最もホットな研究テーマの一つとなっています。

私の研究では、BH周辺の様々な波長の放射の中でも、BHに最も近づいた物質が生成するX線放射を狙います。X線は大気で吸収されて地表には届かないため、天体からのX線信号を観測するためには、人工衛星に検出器を搭載して宇宙に飛ばす必要があります。そのためには、宇宙でX線センサーを許容動作温度に安定に保たなければなりませんが、効率よく熱を運ぶのに有効な対流が働かない上、太陽の直射が当たる灼熱の時間帯と、冷たい宇宙を向く極寒の時間帯が交互にやってきます。そこで私は、熱工学デバイスを利用して、検出器外部から入ってくる放射熱をできるだけカットし、検出器内部で熱を効率よく輸送するとともに、ヒーター、冷凍機、冷媒を利用してセンサーの温度を安定にコントロールするための「熱設計」を行っています。こうして開発した検出器を衛星に搭載し、ロケットで軌道上に打ち上げ、宇宙から複数のBHのX線放射を観測することで、放射や噴出流の形成メカニズムを研究します。

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