学際科学フロンティア研究所活動報告書_令和3年度
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―115―K. Tsuda and M. Tanaka, Appl. Phys. Express 9, 071501 (2016). D. Morikawa and K. Tsuda, Appl. Phys. Lett. 119, 052904 (2021). 参考文献 [1] M. Uomoto, H. Yoshida, T. Shimatsu, T. Saito, T. Moriwaki, N. Kato, Y. Miyamoto, and K. Miyamoto, Proc. 7th LTB-3D 2021, p.45 (2021). (Best presentation award, 7th LTB-3D 2021を受賞) [2] T. Shimatsu, H. Yoshida, M. Uomoto, T. Saito, T. Moriwaki, N. Kato, Y. Miyamoto, and K. Miyamoto, Proc. 7th LTB-3D 2021, p.51 (2021). [3] T. Amino, M. Uomoto and T. Shimatsu, ECS J. Solid State Sci. Technol. 10, 054008(1-5) (2021). [4] Y. Watabe, F. Goto, M. Uomoto, and T. Shimatsu, Proc. 7th LTB-3D 2021, p. 39 (2021). 室温接合は,将来の新しいデバイス形成のために重要である.原子拡散接合法は,ウエハや基材の表面に薄い金属薄膜を形成し,引き続き同一真空中で金属薄膜を相互に重ね合わせることで室温接合する技術である.ウエハや基材の材料を選ばず,数Å程度の薄い金属膜を用いた接合も可能であり,我々は,この技術の高度化を目指した研究を続けている. 本年度の主な成果として,まず,金属薄膜に代わりAlN等の窒化薄膜を用いた室温接合に成功した[1].AlN薄膜は電気的絶縁性と優れた熱伝導を有することから,新しい接合技術としての応用が期待される.次に,Y2O3やZrO2等の酸化薄膜を用いた接合にも成功し[2],優れた光透過率と電気的絶縁性を有する接合界面の形成が可能となった.一方,金属膜を用いた従来の接合技術の高度化として,薄膜形成後に真空中で生じる表面汚染が接合性能に与える影響の解明[3],熱伝導率の高いAg薄膜を用いた大気中接合の成功[4]等の成果を挙げた.今後も,原子拡散接合法の高度化を目指し,様々なデバイス形成技術としての展開を図りたい. ナノ電子プローブを用いる収束電子回折(CBED)法により、ナノ局所結晶構造解析を行う手法の開発と応用に取り組んでいる。これまでに、CBED法を強誘電体の典型例であるBaTiO3に適用し、菱面体晶対称性を持つ「分極ナノドメイン」が立方晶相、正方晶相、直方晶相の局所構造として存在し、その空間平均として巨視的対称性・分極が現れていることを報告した [1]。今回さらに、電場印加時のBaTiO3の「分極ナノドメイン」の挙動について調べた [2]。集束イオンビーム加工によりPt電極を形成した透過電子顕微鏡用薄片試料を作製し、電場印加試料ホルダーを使用して異なる印加電場でのCBEDデータを取得した。その結果、従来のメゾスコピックスケールの分極ドメインの電場応答に加えて、分極ナノドメインも複雑な電場応答を示し、誘電特性に寄与し得ることを新たに見出した [2]。本研究は森川大輔助教(東北大多元研)との共同研究であり、JSPS科研費18H03674, 18K18931の助成を受けた。 参考文献 [1] [2] 島津武仁(先端学際基幹研究部/情報・システム領域) 津田 健治(学際研、先端学際基幹研究部) Atomic Diffusion Bonding (ADB): Room Temperature Bonding of 強誘電体のナノスケール局所構造の電場応答その場観察 原子拡散接合法を用いた室温接合技術 Wafers for Creating Various Devices

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