学際科学フロンティア研究所活動報告書_令和3年度
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―134―スピン起電力は、電子スピン間の相互作用に起因する、磁性体中の電気-磁気エネルギー変換現象である。本年度はこの現象および関連する効果を利用した二つの新現象、「量子論的インダクタ」「カイラル反強磁性体の電流制御」について、それぞれ理論予言および実証研究を行なった。これらのプロジェクトは、スピン起電力の基礎理論研究を、新規デバイス提案研究(量子論的インダクタ)および新材料研究(カイラル反強磁性体)と融合させることで、新たな学際研究領域の開拓に挑戦するものである。令和3年度は、空間反転対称性が破れた系における量子論インダクタの基礎理論を確立するとともに[1]、dc電流によるカイラル反強磁性構造の恒常回転という従来磁性材料に例を見ない磁気励起の発見に成功した[2]。参考文献 [1]Y. Yamane, S. Fukami, and J. Ieda, to be published in Phys. Rev. Lett.[2]Y. Takeuchi, Y. Yamane et al., Nat. Mater. 20, 1364-1370 (2021).山根結太(新領域創成研究部/デバイス・テクノロジー) スピン起電力の理論研究

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