学際科学フロンティア研究所活動報告書_令和3年度
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―152―市川幸平(新領域創成研究部)、程 永超(東北大学)、村田 光司 (筑波大学)、他 本研究では、天文学者と歴史学者がタッグを組むことにより、歴史史料に記載された過去の天文現象を掘り起こし、現在の天文学の技術が確立されるよりも前の、⾧期的な時間軸の天文現象の情報を引き出すことを目指し、その結果2つの成果を創出することに成功した。1つ目は、歴史的資料に残っていた彗星のプラズマテイルの情報をもとにして、おおよそ100-1000年程度昔の太陽活動の状態を調べた研究である[1]。2つめは、大彗星を利用した、ビザンツ皇女の死亡年の推定である[2]。皇女の死亡時期については、2-3ヶ月ものあいだ観測できた(大)彗星の半年後であるという記述が残っており、その彗星を同定し、皇女の死亡時期は今まで歴史学者が慣例的に採用していたものよりも半年遅れていたことがわかった[2]。参考文献 [1]H. Hayakawa (incl. K. Ichikawa) et al. “Three case reports on the cometary plasma tail in thehistorical documents”, Journal of Space Weather and Space Climate, 2021, Volume 11, id.21, 11 pp.,[2]K. Murata, K. Ichikawa, Y. Fujii, et al. “Cometary records revise Eastern Mediterranean chronologyaround 1240 CE”, Publication of Astronomical Society of Japan, 2021, Volume 73, Issue 1, pp.197-204歴史資料から暴く過去の天文現象

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