学際科学フロンティア研究所活動報告書_令和4年度
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革新的ハイブリッドスラスタによる深宇宙探査の実現に向けて、2022年度は主に以下3項目を進めた。まず、革新的ハイブリッドスラスタの有力候補である端面燃焼式ハイブリッド燃焼における異常燃焼の原因解明を行った。基礎燃焼試験によって異常燃焼を再現し、従来報告されてきた現象が、熱流体が連成した現象であることを明らかにした(論文準備中)。次に、構造質量の限界を極めるスラスタの制御性を高めるために、スパース(空間的に疎な)センサ位置最適化手法の開発を行い、異常検知手法を構築した(論文準備中)。最後に、革新的宇宙推進機の宇宙実証に向けて、NEDO・官民による若手官民による若手研究者発掘支援事業(研究代表者:齋藤)を開始した。株式会社ElevationSpaceと共同で開発を進め宇宙実証を目指す(特許準備中)。 ―121―スピネル型正極材料を用いた新規エネルギー・⾦属貯蔵システムの開発 革新的ハイブリッドスラスタによる深宇宙探査の実現 齋藤勇士(新領域創成研究部/物質材料・エネルギー) 下川航平(新領域創成研究部/物質材料・エネルギー領域) 蓄電池材料を軸にした学際研究に取り組んでおり,(i) 光で充電できる蓄電池(光蓄電池)の開発と (ii) 海水からのリチウムの資源回収に関する研究を主に行っている. 光蓄電池に関する研究では,光合成に着想を得て,光触媒と電子アクセプタから成るハーフセル(半電池)の設計を提案し,スピネル型酸化物である LiMn2O4 の光充電の実証に成功した.本成果は Chemical Communications 誌に論文を発表した[1]. 海水からのリチウムの資源回収を目指した研究では,発電細菌と呼ばれる特殊な微生物を利用することで,微生物駆動のリチウムインターカレーション反応を世界で初めて実証した. 本手法については特許を出願済みであり,近日中に論文投稿予定である[2]. 参考文献 [1] K. Shimokawa, S. Matsubara, A. Okamoto, T. Ichitsubo, Chem. Commun., 58, 9634 (2022) [2] K. Shimokawa, D.M. Pham, X. Long, A. Okamoto, (to be submittd)

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