学際科学フロンティア研究所活動報告書_令和4年度
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歯牙の植立には、歯周組織内の硬組織である歯槽骨や歯根周囲に存在するセメント質が必要不可欠である。生体内の石灰化は、石灰化を促進するリン酸と石灰化を抑制するピロリン酸のバランスによって制御されている。我々は、ピロリン酸からリン酸を産生する“組織非特異的アルカリホスファターゼ(TNAP)”が歯周組織の再生を促進することを明らかとした[1]。ところで、タンパク質はアミノ酸残基付加により陰性に帯電し、陽性に帯電している硬組織に強力に結合し得ることが報告されている。本研究では、この効果を利用し、アミノ酸残基を付加することにより硬組織に強力に結合し、歯周組織再生を促進する新規TNAPの作製を目的とした。本プログラム支援による他分野との共同研究により、安定したタンパク作製方法を見出し、本タンパク質が歯周炎モデルマウスのセメント質や歯槽骨の再生を強力に促進することを明らかとした。今後は臨床応用への検討を行っていく予定である。 参考文献 [1] Nagasaki A et al, Delivery of Alkaline Phosphatase Promotes Periodontal Regeneration in Mice., J Dent Res. 2021. ―144―酵素タンパク質の荷電制御に基づく硬組織再生の新機軸 長﨑敦洋/東北大学病院咬合修復科

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