東北大学
学際科学フロンティア研究所

FRIS Interviews #08

FRIS Interviews#08

  • 郭 媛元Yuanyuan Guo

    バイオエレクトロニクス、グリア・ニューロン相互作用Bioelectronics, Glia-Neuron Interaction

充実した自由な研究環境が
さらなるチャンスを生み出す

あなたがFRISを選んだ理由は?

分野を超越した研究をしている私に理想的な環境と思えたから。

中国出身の私は、学部生のときに交換留学生として東北大学に留学しました。学部卒業後、東北大学に戻り、電子工学の修士となりました。その後MITやバージニア工科大学でも専門を深め、医工学の博士に。現在は、生物学と工学を縦断し、脳機能を理解し、脳病態の原因を解明するために、脳活動の操作や、多くの脳信号の同時測定が可能なデバイスを開発しています。東北大学の環境が気に入っていた私にとって、領域をまたぎ自由な研究ができるFRISは理想的に思えました。従来のラボの定義に縛られることなく、独立した研究者となるためのサポートが充実しているので、自らの意思に基づいて研究領域を確立できると思います。

現在の研究内容について教えてください。

特殊なファイバやセンサによる多機能デバイスを開発し、脳の活動を調べています。

生物学は、技術的な革新によって鋭く深く探求されて新たな発見ができるところに魅力があります。化学や工学など、一見生物学とは関連がなさそうな異分野がいかに新しい技術を開発し磨いていくか、その効果に影響されるのです。私の研究はまさに工学の技術革新によって生物学の探求が発展する、工学と生物学の相乗効果の一端でもあると言えます。研究内容は、生体適合性が高く最小限の侵襲性を有し、複雑なシグナル伝達様式によって生物学的システムとインターフェースできる技術の開発を行っています。詳しく言うと、日常生活の中で広く用いられる光ファイバーを作る熱延伸プロセスを利用し、一本の細いファイバーの中に、電極、光導波路、微小流路、バイオセンサーなどの機能を組み込んだマルチファンクションファイバーを開発しています。これらさまざまなファイバープローブを多くの研究グループに提供しており、開発、生体応用、商業化まで幅広く共同研究を行っています。また、開発したデバイスを利用し、今までの技術では解けなかった生物の問題、特に、脳科学の分野に挑戦したいと思います。
将来的には、例えば、パーキンソン病やうつ病などの患者に直接多機能ファイバーデバイスを装着することで、脳疾患はどのようにして発症し、進行するのかという病態を解明して、診断・治療・予防法開発の一助になることが期待できます。
郭 媛元Yuanyuan Guo

学際科学フロンティア研究所 助教
中国出身。日本学術振興会特別研究員などを経て2018年からFRIS研究員として在籍。脳の活動を調べるための多機能デバイスの研究・開発を行っている。

FRISの特徴や魅力を教えてください。

研究者同士の交流が盛んで自由なスタイル。やりたいことができる。

FRISは、社会問題に対応するため従来の分野や領域という壁を打ち破るというビジョンを持っています。若い研究者の独立性を尊重しているので、やりたいことに主体的に柔軟に取り組める環境が整っていると言えるでしょう。領域や分野を縦断し、他領域、他分野の研究者との交流や意見交換も刺激となり、大きな発展性を秘めていると感じます。義務や制限、ノルマのない自由なスタイルが魅力だと思います。

FRISだから可能になったこととは?

共同研究がしやすく、互いに意見を交わす環境がある。

多様な分野の研究者が在籍しているFRISでは、他の研究者の研究テーマや内容を知るための交流会や発表会などのイベントが定期的に開催されています。それに参加すれば、他の研究者がどのような分野で何の研究を行っているか知ることができます。コミュニケーションが図りやすいですね。私の場合、マテリアル工学の研究者であるクリステル助教と高分子ポリマーの共同研究を行っています。また、今開発しているさまざまな多機能ファイバーを学内外の多くの研究者に提供しており、共同開発・生体応用・商業化まで幅広い共同研究を進めています。

FRISではどんな人が活躍できそうですか?

情熱と野心に溢れる若い研究者にとって素晴らしい環境。

従来の境界や垣根を気にせずに自分の信じたことへ邁進したいという野心に溢れた研究者にとって、研究に集中できる環境が整っていると思います。他の研究者を巻き込めるようなオープンな精神や信じたことに突き進める独立心を持つ人にとって、高いモチベーションを維持しやすい環境です。

FRISをおすすめしたい理由は?

ここでの研究が、現在の不可能を可能にするかもしれません。

これからの5年後、10年後、30年後の未来を想像するのは難しいかもしれませんが、私たち研究者はあらゆるアイデアを持っています。今は不可能に思える夢だとしても、その不可能を可能するチャンスや足がかりがFRISにはあるのではないでしょうか。学際という取り組みが、研究者のモチベーションを高め、知的好奇心をさらに刺激してくれるということを実感しています。

仙台の暮らしや環境についてはいかがですか?

仙台は私の人生を変えた場所。ずっと居たいからここで成果を出します。

住む場所としてちょうどよいコンパクトさが気に入っています。海にも山にも近く、自然を楽しむことができます。大学生の時に交換留学生として仙台に来たことで私の人生は変わりました。母国の中国、留学経験のあるアメリカと比べても私は仙台が好きです。友人の影響もあり、オフタイムにはアウトドアが趣味になりました。ハイキングやキャンプなどを一緒に楽しむ仲間がいます。不満に思うことはほとんどありません。親切な人が多く、街があまり混雑しないところもいいですね。ずっと仙台に居たいので、ここで成果を出せるように頑張っています。
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