東北大学
学際科学フロンティア研究所

公募研究

学際研究共創プログラム 研究概要(2020年度採択)

学際科学フロンティア研究所

阿部 博弥 助教

採択課題名
脳内の神経伝達物質の放出を計測する電気化学高分子プローブ
実施年度 2020-2021

脳内の化学シナプスでは数十ミリ秒単位で神経伝達物質のやり取りが行われており、学習や記憶、感情などの脳機能の基盤である。ショウジョウバエは比較的容易に遺伝子操作が可能なため、神経伝達物質が引き起こす行動制御の理解のために使われている。電気化学計測は神経活動、特に神経伝達物質の放出を高感度かつ高い時間解像度で計測するための有力な手段である一方、多くの研究は生体から脳を取り出したex vivo計測に留まっており、活動中のショウジョウバエに対するリアルタイムなin vivo計測には至っていない。これは電気化学計測プローブがガラスやシリコン製のため固く、ショウジョウバエの活動に追従できないためであった。そこで本研究では、ショウジョウバエ脳内の神経伝達物質放出を電気化学的にモニタリングにする柔軟な高分子プローブを作製することを目的とする。これを使って、ショウジョウバエの行動と神経伝達物質の放出パターンとの関連性を明らかにし、脳の本質的な機能の解明に迫る。例えば、報酬を与えた際の脳内のドーパミン放出をモニターし、記憶形成やその安定化を行う際、ドーパミンがいつ・どこで・どのような時系列パターンで放出されるのか評価・解析を行い、ショウジョウバエ脳機能理解を目指す。本研究はショウジョウバエに関する神経行動を専門とする市之瀬、神経伝達物質の電気化学計測を専門とする阿部、柔軟な高分子プローブを専門とする郭の 3 名が共同で行うことで初めて達成される研究課題である。

 

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