東北大学
学際科学フロンティア研究所

公募研究

学際研究共創プログラム 研究概要(2021年度採択)

学際科学フロンティア研究所

飯浜 賢志 助教

採択課題名
二次元物質における光-スピン結合
実施年度 2021-2022

近年、原子の層が一層のみからなるグラフェンをはじめとする2次元物質では電子の運動する方向とスピンの方向が結合した特異な電子状態を実現できることが知られています。単層の遷移金属ダイカルコゲナイド(例えばMoS2)という2次元物質では下の図(a)に示すようなハチの巣格子状の形状をし、空間反転対称性が破れていることに起因した特異な光-スピン結合状態を実現します。ある電子の波数Kと符号を反転させたK’という点(バレー)ではカイラリティ選択則といったそれぞれの点で光のヘリシティによって異なる向きのスピンを励起できます[図(b)]。これまでに円偏光フォトルミネッセンス等が観測されてきましたが、その円偏光で作られたスピンによる磁化(磁気)制御は実現できていません。最近、代表者(飯浜)が円偏光を重金属薄膜に照射するとスピンが作られ、その円偏光誘起スピンによって隣接する磁性体の磁化制御を実現できることを示しました。2次元物質の特異な電子状態を利用した光-スピン結合を利用することで、その磁化制御効率が飛躍的に向上することが期待できます。本学際融合研究では2次元物質の電子状態の理論家であるFRISのDr. Nguyenと2次元物質作製に精通しているAIMR井土助教と共同で研究を展開していくことによって2次元物質を用いた光-スピン結合とそれを利用した高速-高効率光磁化制御への展開を目指します。

Figure (a) Honeycomb lattice structure of transition-metal dichalcogenides (TMD). (b) Chirality selection rule for TMD.
PAGE TOP