東北大学
学際科学フロンティア研究所

公募研究

学際研究共創プログラム 研究概要(2021年度採択)

学際科学フロンティア研究所

楠山 譲二 助教

採択課題名
生体組織硬さの精密計測・生体外模倣・誘導介入
実施年度 2021-2022

細胞は細胞外マトリックスに接着することで生体組織構造を形成している。各臓器には細胞と細胞外マトリックスによって決まる「硬さ」が存在しており、組織の適切な硬さは細胞の基本機能に必須であると共に、その変化や攪乱は種々の疾患の原因となる。脂肪組織は脂肪滴の蓄積でサイズと柔らかさが大きくなる一方、過剰な栄養に起因した線維化によって硬化する、動的硬さをもつ臓器である。脂肪組織の構造は栄養や運動の多寡に応答することによってダイナミックに変化するため、脂肪組織は硬さの動的変化と機能が相関しやすい臓器であると考えられる。これまでの研究では脂肪組織の硬さは解剖後に計測されており、剖出による組織内圧の変化や生体支持組織との連結が失われ、生体内の本来の硬さとの乖離が避けられなかった。生内における脂肪組織の硬さを正確に測定することが可能となれば、培養細胞による正確な生体内硬さの模倣技術や、組織硬さの大小と生理機能変化の連関を評価するための基盤的手法を確立することができる。そこで本研究では、代謝生理学・医工学・細胞生物学分野が連携することで、マウス脂肪組織の動的変化を超音波エラストグラフィーで捉え、生体外環境で模倣する、一連の解析フローの構築を目的とする。更に生体組織の硬さを機能によって意義づけることで、生体組織の硬さを評価し、適切な硬さへと誘導する、硬さを利用した新しい健康維持増進法の確立を目指す。


 
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