東北大学
学際科学フロンティア研究所

公募研究

学際研究共創プログラム 研究概要(2022年度採択)

学際科学フロンティア研究所

佐藤 伸一 助教

採択課題名
タンパク質変性領域の可視化技術の開発と効率化
実施年度 2022-2023
 タンパク質の変性は様々な疾患に関与しており、重要な研究課題である。我々は、タンパク質表面に疎水性構造が露出するという変性構造に特有の性質に着目し、本課題では、それを化学的に捕捉する技術を開発する。本技術によって、タンパク質の変性構造が可視化でき、変性度を定量することが可能になる。生命科学研究を加速するだけでなく、神経変性疾患や、高齢化社会における認知症の早期発見を指向した診断技術にも直結する。
 佐藤はタンパク質の変性構造を捉える化学を研究しており、タンパク質の変性度を可視化するプローブ分子を開発した。しかし、タンパク質変性状態の検出効率の面では改善の余地が大きく、本課題で異分野融合によるブレークスルーを目指す。効率的に研究を展開するためには馬渕が研究するMD計算によるスマートなプローブ分子デザインが必要不可欠である。本研究では、馬渕がMD計算によって、どのような部位から変性が始まるのかをシミュレーションし、その結果をもとに、佐藤の方で得られる実験結果を照らし合わせるというアプローチで研究を進める。
具体的には  ①タンパク質の熱変性変化のMD計算と検出実験の相互検証による変性の計算精度向上 と  ②MD計算を駆使したタンパク質変性プローブ分子の合理的設計と最適化 の2つの項目に取り組む。
 項目①では、実測値の算出方法と計算方法の両面を磨き、タンパク質変性過程のシミュレーションの高精度化を目指す。このようなアプローチは異分野共同研究によってはじめて達成させるものであり、タンパク質変性過程シミュレーションと価値の高い情報を与えると期待する。項目➁では、佐藤が既に創出したプローブ分子の構造を変化させた分子(小分子)と変性過程にあるタンパク質分子(巨大分子)とのドッキングシミュレーションを馬渕が行う。計算結果の良い仮想分子に関しては、佐藤が実際に合成し、タンパク質の変性状態をより効率的に検出できるかを検証する。
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