東北大学
学際科学フロンティア研究所

公募研究

学際研究共創プログラム 研究概要(2022年度採択)

学際科学フロンティア研究所

郭 媛元 助教

採択課題名
新規末梢型肺癌診断法の確立のための能動ファイバセンサの開発
実施年度 2022-2023
 本研究の目的は、微細な能動ファイバに肺癌を特異的に検出できるセンサを集積し、多機能な「能動肺癌センサ」を開発することである。この微細な能動肺癌センサを用いることにより、内視鏡下でファイバセンサの先端を組織表面に接触させるだけで末梢型肺癌の局在・組織型を迅速に診断することを目標としている。
 世界中に人口の高齢化が進む中で癌の罹患率は持続的に上昇している。日本でも、2019年には国民の死亡の1/3が癌死であり、癌の中でも肺癌死亡は1位に位置している(国立がん研究センター「がん情報」により)。また肺癌はその罹患率の高さに加えて予後も不良であり、全病期の5年相対生存率は5割しか立っていない。近年は薬物治療の新規開発により、生存率の上昇傾向がみられるが、このような有効な薬物治療を早期に選択するためにも、気管支の末梢より先の肺の深部にまで到達可能であり、かつ迅速に検査可能な診断法が最も求められている。
 現在、肺癌の診断は気管支ファイバースコープ(Broncho Fiberscope)による内視鏡診断が主流である。しかし、消化管での診断とは異なり、肺癌の多くは内視鏡による目視だけでは正確な診断が困難であり、正診断率は3〜7割と安定していないことが問題とされている。さらに微細で複雑な分岐構造がある肺の深部にまで診断用デバイスを送り込んで生検を行うことが物理的に困難な場合もある。
 そこで、本研究は微細な能動ファイバと肺癌センサを組み合わせることで、末梢型肺癌の局在・組織型を迅速に診断できる「能動肺癌センサ」の開発を提案する。技術開発者と臨床医の連携することで、新たな末梢型肺癌診断法の確立することを目指している。
 
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