東北大学
学際科学フロンティア研究所

公募研究

学際研究共創プログラム 研究概要(2024年度採択)

学際科学フロンティア研究所

池内 健 助教

採択課題名
次世代化学修飾を用いた高反応速度タンパク質複合体の可視化技術の開発
実施年度 2024-2025

クライオ電子顕微鏡(cryo-EM)を用いたタンパク質やRNAを含む複合体の単粒子構造解析は、検出器や解析手法の技術的進歩により飛躍的に進化し、2Åを超える分解能で溶液中の構造を可視化することが可能になった。しかしこれは、ゆらぎの少ないいくつかの安定なタンパク質複合体に限定されている。タンパク質や機能分子のはたらきを制御する酵素などは、標的に結合し反応後速やかにはなれるため、酵素それ自体が安定な構造を取る場合においても、反応複合体の捕捉は未だ困難である。

本研究課題において我々は、cryo-EM構造解析のサンプル調製手法に焦点をあて、タンパク質の化学修飾法および架橋剤を用いた反応複合体の安定化技術の開発と、cryo-EM単粒子構造解析を組み合わせた構造可視化技術への応用を目指す。①池内が遺伝学・生化学を駆使し、ゲノムタグ付加、複合体精製、試験管内反応再構成系の構築を行い、構造解析用試料の調製を行う。②佐藤が独自に開発した高反応性化学種によるタンパク質化学修飾法をcryo-EM解析用サンプルのタンパク質クロスリンキングに最適化し応用する。③クロスリンクしたサンプルのcryo-EM単粒子構造解析により、ゆらぎの大きい細胞内複合体の構造可視化を目指す(池内)。④また質量分析による修飾(架橋)導入範囲と効率の分析・評価を行う(佐藤)。

本技術はこれまで困難であった様々なタンパク質やRNAの動きを捕捉して、高反応速度複合体の安定補足と構造解析を可能にするだけでなく、基礎生命科学・創薬開発や疾患発症機構の基盤研究にも直結すると期待する。

 
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