公募研究
学際研究共創プログラム 研究概要(2024年度採択)
学際科学フロンティア研究所
松平 泉 助教
採択課題名 |
多統計的因果探索で紐解く親子の脳の類似性
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実施年度 | 2024-2025 |
親と同じ精神症状を呈するなど、あたかも精神疾患が世代を渡り繰り返されるように見える現象は、世代間伝達と呼ばれる。親子は脳の特徴が類似し、その類似性が世代間伝達の基盤となる可能性が報告されている。 研究代表者の松平泉(学際研・助教)と共同研究者の山口涼(医学系研究科・大学院生)は、父・母・子(親子トリオ)を対象とした脳画像解析により、親子の脳の構造的特徴の類似性とその性別特異性を探究してきた。しかし、「なぜ親子の脳が似るのか」は未だ解明されていない。親子の脳の類似性を規定するのは共に生活する中で共有した情動や生理的反応なのか、親子それぞれの生育環境の共通性なのか、あるいはその両方なのか、要因同士の関係性は不明である。そこで本研究では、複雑ネットワーク研究を専門とする藤木結香(学際研・助教)との共同により、因果推論の分野で注目されているLinear Non-Gaussian Acyclic Model (LiNGAM)を用いたデータ駆動型因果探索を行い、親子の脳の類似性に関わる要因の因果関係の全体像を究明する。 松平と山口が蓄積してきた150組以上の親子トリオの脳画像は世界的に稀有なデータとして、精神疾患の世代間連鎖の機序解明への貢献が期待されている。藤木はLiNGAMに基づくインフラネットワークの因果構造の分析における実績があり、複雑な現象に対し最も妥当なモデルを探索する技術を持つ。世界に類を見ないデータセットと最新鋭の数理技術の融合、及びそれらを駆使する若手研究者らが連携することで、親子の脳が類似する仕組みを紐解き、精神疾患の世代間連鎖を断絶する手段の発見へと道を開く。 |
