公募研究
学際研究共創プログラム 研究概要(2025年度採択)
学際科学フロンティア研究所
濱本 裕美 助教
採択課題名 |
ヒトとAIの比較から紐解く「人間性」と意思決定の神経基盤
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実施年度 | 2025-2026 |
人間は交流相手が人間であるだけで、交流をする前からある程度の信頼感や親近感を相手に持つことがわかっている。これは、人間性(性格・価値観・知性・道徳性など)を交流相手が持っていることを期待しているためだと考えられている。この人間性の知覚能力が社会的な行動の基盤だと考えられているが、負の側面も存在する。例えば、非社交的な人間に対しては信頼感・親近感が急速に低下することが知られている。これは想定した人間性が裏切られたためだと考えられるが、実社会において専門家(医師・教師など)の助言が正当に評価されない現象に関係している可能性がある。しかし、人間がどんな存在に人間性を感じるのか、ということはいまだに研究途上である。この理由の一つが、人間性と生物性が切り分けられていないという点にある。そこで本研究では、非生物ではあるが知性を感じる挙動をする存在である人工知能(AI)に注目し、交流相手が人間の時・AIの時の脳活動を比較することで、物理的な生物性と人間性を分けることを目指す。 本研究は将来的に、差別や断絶といった、相手への人間性の知覚低下が原因だと考えられている社会的問題の解決に寄与できる可能性がある。また、信頼されるAIの開発研究に新たな視点を加えることができる。 本研究は、これまで認知神経科学的アプローチによって社会性に関する研究に取り組んできた濱本(東北大学学際科学フロンティア研究所)と、意思決定支援AI開発に携わってきた香川(産業技術総合研究所人工知能研究センター)の共同研究により行われる。 |