東北大学
学際科学フロンティア研究所

公募研究

学際研究共創プログラム 研究概要(2025年度採択)

学際科学フロンティア研究所

立石 友紀 助教

採択課題名
無機-有機複合ヒドロゲルの微細構造直接観察による設計・構造・機能の相関関係解明
実施年度 2025-2026

ヒドロゲルは三次元ネットワーク構造内に大量の水を含む柔軟な材料であり、分子認識・貯蔵・検出機能を持つ。ヒドロゲルの水分含有量は90%以上と高く生体親和性に優れ、多様な応用展開が期待できる材料群である。しかし、その基礎科学には未解明の点が多く、特に分子設計(nmスケール)・微細構造(µm)・材料物性(mm)という、異なる長さスケールを横断する「設計・構造・機能」の相関関係の解明が、合理的な材料設計や応用展開を推進する上で重要な課題の一つになっている。本研究では、立石(学際研助教)の多孔性材料合成科学と池内(学際研助教)の電子顕微鏡観察技術を組み合わせることで、無機-有機複合ヒドロゲル材料の分子設計・微細構造・材料物性の相関関係を解明し、ヒドロゲル材料の学術基盤の充実と応用展開を目指す。

本研究でははじめに、金属錯体と有機高分子を有機溶媒中で反応させることでオルガノゲルを合成した後、ゲル中の溶媒を水へと置換することで新規無機-有機複合ヒドロゲルを得る。従来型ヒドロゲルの微細構造を顕微鏡観察により解析する際、一般的に重金属による染色処理が必要である一方、本研究で扱う無機-有機複合ヒドロゲルは金属錯体部位を含み、クライオ電子顕微鏡による微細構造観察・三次元構造解析が直接遂行可能である。次に、無機-有機複合ヒドロゲルに対して貯蔵対象分子を添加し、その貯蔵量や変形挙動を評価する。化学刺激として対象分子を添加した際にヒドロゲルが示す微細な構造変化を電子顕微鏡で直接観察し、分子設計・微細構造・材料物性の相関関係を総合的に解明する。上記研究内容を通じて得た網羅的な解析結果を元に、ヒドロゲルが本質的に持つ生体親和性を活用してドラッグデリバリー担体や組織工学的足場材料など、さまざまな応用分野への材料開発を推し進める。

 
 
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